魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

最近の古書

2018年04月17日 21時08分15秒 | 書籍

矛盾したような題名ですみません。最近は「古書」を購入することが多いのです。古い本の中にも新しい、新鮮な知見も多く見られます。

●原色魚類大圖鑑Ⅱ (北隆館 1958年)

昭和33年の本。西暦に直せば1958年で、筆者の両親が生まれた年である。この図鑑に掲載されているのは魚類とホヤなどのグループである。著者は冨山一郎・阿部宗明・時岡 隆氏。前のおふたがたは魚類のスペシャリスト、時岡氏はホヤなど原索動物の専門家ということである。

魚の目は「横口目」や「硬骨目」「全頭目」など6つしかなく、現在の分類とはだいぶ異なっているように見える.しかし本の情報量自体はいまの図鑑よりも多いかもしれない。魚の別名なども掲載されていて、参考になる。

本の中には1958年の本であるにもかかわらず、カラー写真もある。それは熱帯魚のページであるが、海水魚のカクレクマノミもあった。しかもその解説には「淡水に順化させることができる」などとあるが、本当なのだろうか。分布域には「琉球」などとあり、ほかの熱帯魚もいまの国名・地域名とはだいぶ異なっているのが印象的である。

日本近海の魚は絵がほとんどであるが美しい。ニジハギやセナスジベラなど、当時のイラストとしては最高峰であったのかもしれない。最近の図鑑は写真を切り抜いたものが主流であるのだが、このような絵の図もまた素晴らしいものである。この本は古本屋さんで購入したものではなく、いただきものである。感謝したい。

●海水魚の飼い方 (ひかりのくに、1974)

こちらは当時としては画期的だったと思われる海水魚の飼育本。ひかりのくには児童向けの本を作っている会社ということで、書籍の中には専門的な内容に混じり、児童向けの本に出てきそうな魚の挿絵が出てくる。この挿絵もとてもかわいい、お気に入りのものなのだ。

内容は最初の40ページくらいがカラーで魚や無脊椎動物の紹介、それ以降はモノクロで魚類の採集、飼育の紹介。とくに磯採集の項目にも多くのページが費やされている。ほかには網の作り方やいけすの作り方、さらには二連球を使用した運搬方法など。とくに網やいけすの作り方は、一般人の磯採集では使えるようなしろものではないものまで紹介されており、今見ても色あせることがない。さらには「巻貝の貝殻を飾りにつかうのはなるべく避けるべき」とか、ポップアイ(眼突出)の防ぎ方、遊泳性のサメ「ツマグロ」の運搬方法、魚の手術方法まで、何から何まで現在の観賞魚の本とは全く違う、まさにマニアック、いや水族館むけの一冊といえるだろう。それもそのはず、著者 杉浦 宏氏は当時上野動物園水族館で勤務されていた方である。

今回購入した「海水魚の飼い方」には、前にこの本を所有していたユーザーの方のメモ書きも残されていた。それで昔は海水魚がどのような場所で、どのような値段で販売されていたかをうかがい知ることができた。デパートの屋上には昔は熱帯魚の売り場が数多くあったものだ。確かに私も昔むかしに親につれていってもらったように思う。

アクアリストの方にはこの本は可能であればぜひ手に取ってほしい。古書を扱うお店であればいまでも購入できるはずだ。

コメント
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