魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ふたつの放流問題 ニシキゴイとシジミ

2017年07月01日 16時38分51秒 | 環境問題

またまたまた放流の問題を取り上げないといけないようであり、私は大変である。

炎上するニシキゴイ放流イベント 優雅な姿の裏に潜む“利権”(Wedge)

今回はWedgeという雑誌の記事です。この記事については電子化されており、インターネットにつなげる環境さえあればだれでも無料でよめるようです。この雑誌の記事は個人的にはあまり論調は好きではないのですが、今回はしっかりまとめられた記事があり、ご紹介したいと思います。以前このぶろぐでも取り上げてきたニシキゴイの放流問題についてきちんと説明してくれています。かなり詳しくニシキゴイの問題をとりあげてくれており、うれしいものです。

ただし疑問点もあり。昨年の12月にも川崎市の河川にコイなどの放流が行われてきたことも取り上げられていたのですが、それは例の多摩川の「なんちゃらポスト」の運営者でもあったことが明らかになっております。そのなんちゃらポストの運営者氏は「ニシキゴイ放流によって住民や行政が川に関心を持ってくれる」などと述べておられるのですが、これによって「放流はいいこと」というとらえかたをされないか不安なのです。

さらに本文中にもあります「カワウやサギに捕食されるから生き残れない」というのは全く意味不明の理論といえます。もしカワウやサギに捕食されるからコイが生き残れないというのであれば、なぜコイは生き残って成長するのでしょうか。このコイの放流が行われた河川には在来の生物も見られるといいます。コイを放流してしまい、在来の生物は失われなかったでしょうか。

高度経済成長期に「死の川」となった河川にも生物は生き残っていたようです。それらを守りながら復活を待つのが重要なのであり、きれいだからとか、川に関心を持ってもらえるから、という理由でコイを放流するのはいかがなものでしょうか。ただ今回取材を受け入れたなんちゃらポストの管理人氏はまだいい方なのかもしれません(よくはないが)。5月の山梨県の件については放流を行ったNPO法人や、コイを導入した業者については全く音沙汰なしだったということです。

今回私がこの記事で「よかった」と思ったのはアユの冷水病の問題と、コイの遺伝的攪乱の問題も取り上げられたことです。放流といえばこれまで、「生態系を乱すから」とか、そういう理由で問題視する人が多かった気がするのですが、それだけではなく、遺伝的攪乱や病気など、目に見えない問題についてもようやく理解されるようになったといえそうです(もっともコイヘルペスの問題もありましたが、その時大騒ぎになったのに、それ以降忘れ去られてきた)。

今月15日には大阪で放流問題に関するシンポジウムが開催されます(日本魚類学会公開シンポジウム)。主催は日本魚類学会、会場は近畿大学東大阪キャンパスカデミックシアターです。この問題に興味を持たれた方は行ってみてはいかがでしょうか。参加費は無料で事前受付不要(当日受付)ですので是非どうぞ。

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またしても放流のニュース。今度は宍道湖のシジミを多摩川へ。

住民、中学生がシジミを放流 「川遊びできる多摩川」願い込め (産経新聞)
※記事がなくなってしまったようなので、Yahoo!のニュースをリンクしています

もうこの行為のどこがおかしいのかはわかりますね。島根の宍道湖産のシジミを放す住民と中学生。アメリカ原産のオオクチバスやブルーギルの放流と同じくらい悪質ですが、私だったら「シジミ放流の方が厄介」と答えます。いずれも悪質なのですが、オオクチバスやブルーギルであればまだ外来生物であることがわかりますし、駆除もしやすいといえます(もっとも根絶に向けては多大なる予算が必要であり、バスアングラーの協力も得にくいのですが)。しかしシジミは素人には在来の個体群なのか、それとも外来の個体群なのかわかりにくい、というよりはほぼわからないのです。上記三つの種の中では唯一法律(外来生物法)に違反していないのがシジミの放流なのですが、やっていることは極めて悪質です。外来生物法では特定外来生物や要注意外来生物などを放すことを問題視しているのですが、すべての外来種、国内にいるもの、いないものを含めて放流を原則として違法とするようにすべきです。かんきょーだいじんはEM菌を野にばらまく団体にかんきょーだいじん賞を与えるというとんでもないことをしてしまいましたが、何をかいわんや・・・。

なお、今回の「利権」これは魚を販売して商売をしている人のことなのですが、これについての問題はまた今度。

コメント
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