魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ゲンコ

2016年05月01日 09時50分46秒 | 魚紹介

カレイ目・ウシノシタ科・イヌノシタ属のゲンコ。

ゲンコは千葉県銚子・京都~九州までの日本近海と台湾に生息する普通種。

本種の特徴は有眼側に側線が2列あること、無眼側には有孔側線がないこと、吻がやや丸みをおびること、背鰭と臀鰭の鰭条に小さな斑点があること、背鰭と臀鰭の鰭条数がそれぞれ105~114、および81~91であることなどがあげられる。これらの特徴によりほかの日本産イヌノシタ属魚類と見分けることができる。


ゲンコによく似た種にはオキゲンコや、オタフクゲンコなどがいる。オキゲンコは背鰭と臀鰭軟条数がゲンコとかぶっているし、鰭条の特徴もよく似ているが、有眼側の側線は3列である。オタフクゲンコの場合は側線がゲンコ同様2列だが、背鰭と臀鰭の軟条数がそれぞれ114~118、91~93軟条であること、背鰭と臀鰭の鰭膜は一様に暗色であること、ゲンコの脊椎骨数52~54なのに対し、オタフクゲンコでは56~57と重複しないなどの点で区別できる。オタフクゲンコは現在東シナ海からのみ記録されているが、九州沿岸で採集される可能性もあるのでチェックしたい。ちなみにオタフクゲンコは未記載だという。もう一種のヒレグロゲンコは以前にブログで記事を書いたのでそれを参考にしてほしい。背鰭や臀鰭の軟条数はゲンコとかぶるが、種標準和名にもあるようにこれらの鰭が一様に黒っぽいのが特徴である。

生息水深もゲンコ、オキゲンコ、オタフクゲンコではやや異なっている。ゲンコは水深10~140mと、この仲間では浅い場所に見られ、オタフクゲンコもゲンコに近い。一方オキゲンコは水深220mほどの場所まで見られやや深海性である。ちなみに宇和海の沖合底曳網漁業ではヒレグロゲンコしか見ていない。オキゲンコもまだみていない。上の写真の個体は愛知県三河一色で水揚げされた、廃棄されてしまう魚の中から見つけたものである。トビヌメリやアラメガレイ、ササウシノシタなども入る、比較的浅い水深の漁である。

ゲンコが含まれるイヌノシタ属は、日本産のウシノシタ科魚類としてはもっとも多くの種を含む属である。日本産ウシノシタ科魚類は20種が知られているが、そのうち12、3種はこの属の魚である。ほかアズマガレイ属4種、タイワンシタビラメ属3種。ほかオオシタビラメ属は1種で、イヌノシタ属に入れられることも多い。ゲンコはこの仲間としては小型であるためか、あまり利用されないようである。

コメント
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