この間の採集では前回ご紹介したように、採集出来た魚は少なかったのですが、この魚は前回も、今回も網に入ってくれました。スズキ目・ハゼ科・ゴビオネルス亜科・ヨシノボリ属のシマヨシノボリです。
シマヨシノボリといえば短い河川の下流に多い印象で、福岡、愛媛、静岡、あちこちに生息している魚という感じが強いです。平野部の大きめの河川には少ないということですが 、ほかの種との競合もあるのでしょうか。たしかに愛知県や岐阜県の濃尾平野では採集したことがありません 。奄美大島などでは南方の個体群を採集できますが、頬の色など、明らかに本州のシマヨシノボリとは別のものだと思わせます。
日本産ヨシノボリ属のほかの種とは、頬にミミズ状の斑紋が出ているので見分けは簡単ですが、小さい個体はそれがでていないこともあり、なかなか悩まされます。
シマヨシノボリの産卵期は6月前後のようで、雄の腹部はこのように青くなります。「あおばら」ともよばれるきれいな種なのですが、沖縄本島には「アオバラヨシノボリ」とよばれるまた別の種も生息しています。本種は学名がついているヨシノボリの仲間としては広い範囲に見られ、本種と遊ぶことができる河川も多いです。