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魚のぶろぐ

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ハナアマダイ

2025年05月01日 06時50分04秒 | 魚紹介

椎名さんは4月も新しい現場に行かされるなど、色々忙しかった。久しぶりに食した魚のご紹介。アマダイ科・アマダイ属のハナアマダイ。

ハナアマダイは奄美諸島以南の琉球列島に分布するアマダイ科の魚であるが、この海域にはアカアマダイやキアマダイ、シロアマダイは見られないらしく、一般的にはこの海域唯一のアマダイ科魚類とされる。

ハナアマダイの頬の鱗

ハナアマダイの頬の鱗。頬部の鱗の中央部が一番大きいのがハナアマダイの特徴でほかの魚と見分けられるようである。シロアマダイなどは、基本的により小さく、鱗はほぼ同じ大きさである。なお、キアマダイやスミツキアマダイとは、眼の下に白い横帯が入らないことにより、明瞭に白い横帯が入るこれらの種とは容易に見分けることができる。

ハナアマダイの正中線

図鑑などでは背鰭前方の正中線が黒くないのがハナアマダイの特徴とされているようだが、この個体では明瞭に黒かった。今回のハナアマダイの前に2022年にも鹿児島県産のハナアマダイを入手しているが、そのときの個体についても頭部正中線が黒いのが目立っていた。なお、シロアマダイについても正中線が黒いものがいる。しかしあまり明瞭ではない。

ハナアマダイ尾部

シロアマダイ尾部

尾鰭の色彩は「日本産魚類検索第三版」の同じページに掲載されているシロアマダイよりは、アカアマダイやキアマダイの尾鰭によく似ている。というか、シロアマダイの尾鰭の色彩・斑紋は日本産のほかのアマダイ科魚類と異なっている。ほかの日本産アマダイ属魚類は尾鰭の下方が暗色になっていて、面積が広いのだが、本種だけは縁辺が暗色になり、尾鰭の下方の暗色部の面積も狭いようである。ただしウェブサイトなどで「シロアマダイ」とされる個体の尾鰭を調べてみたが、結構個体差はあるよう。香港のものなど、黄色い斑点が目立っているが、これはまた別種とされるのではなかろうか。なおシロアマダイのタイプ産地は鹿児島とされる。


ハナアマダイの背鰭

一方、ハナアマダイの特徴のひとつとされる背鰭前方の暗色域であるが、この個体にはそれは見られず。本種の新種記載した報文に記された写真では、背鰭には明瞭な黒色まだらはあるのだが。成長に伴い消失するのかもしれない。以前入手した個体においては薄ら暗色斑があったのだが、本種の鰭膜は透明であった。ただし胸鰭の黄色が目立つのは本種の特徴らしい。

椎名さんは魚を刺身で食するのが好きである。しかし、アマダイ科の魚だけはそうではない。刺身よりも熱を加えて料理したほうが個人的には好きなのだ。この仲間は焼いても身がぷりぷりしていて美味しい。今回はオリーブオイルで焼いたものをバター主体のたれをかけて食べたが、うまくマッチして美味しい。皮にもうまみがあり、捨てないように注意したい。

今回のハナアマダイも長崎県 マルホウ水産の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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マホロバハタ

2025年03月13日 19時17分48秒 | 魚紹介

つい先日我が家にやって来た沖縄の魚。ハタ科・アカハタ属のマホロバハタ。昔はEpinephelusの標準和名はマハタ属とされたが、マハタは別属Hyporthodusに含められたため、Hyporthodus属の標準和名がマハタ属。一方Epinephelusの標準和名はアカハタ属とされたのだった。このマホロバハタは2021年に新種記載されたハタである。ホウセキハタやオオモンハタなどと誤同定されていたものであるが、そのへんが2021年に分類学的再検討が行われ、その結果本種は新種記載された。一方ホウセキハタについてはEpinephelus chlorostigmaとされてきたが、この種はインド洋にのみ生息する種とされ、ホウセキハタの学名はEpinephelus japonicusとされた。

マホロバハタは日本においてはおもに琉球列島に生息しているが、九州南部からの記録もあり、ホウセキハタとは分布だけでは識別することはできない。結構この2種は同定が難しいのである。しかし慣れてしまえばそれほど見分けに難儀するような種でもないだろう。

マホロバハタの腹部

ホウセキハタの腹部

この2種の見分けでもっともわかりやすいのは腹部の斑点の有無であろう。マホロバハタでは腹部にも瞳より細かい斑点が多数入るが、ホウセキハタでは腹部にはそのような斑点がほとんどないので見分けることができる。

マホロバハタの胸鰭

ホウセキハタの胸鰭

この2種については胸鰭の斑紋によっても識別することができる。マホロバハタの胸鰭には細かい明瞭な斑点が多数みられるが、ホウセキハタの胸鰭は赤みを帯びた色彩で、胸鰭に斑紋はないかあっても不明瞭であった。また胸鰭基部にも斑紋は少ないようである。この胸鰭の斑点の有無というのは、体に斑点があるハタ科魚類を見分けるのに重要な形質となりうるので、しっかりとチェックしてみてほしい。

さて、マホロバハタの同定&観察を行ったあとは食する。

マホロバハタのおさしみ。手前(腹部側)は普通に皮をひいた刺身。奥(背部側)は皮をひかず鱗だけ落としたあと、皮をあぶった刺身。こうすると皮下にうまみがあるハタ科魚類の特徴を生かすことができる。今回のマホロバハタは長崎 マルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。ちなみに最初私はオオモンハタと誤同定をしていた。そんなオオモンハタとの見分けについてはまた別媒体で書こうと思っている。

なお例の「魚釣り」という中国人による盗用コンテンツオンリーのサイトであったが、これについては「美渚ちゃんの釣り日和」という名称にかわり、ページレビューもいつのまにか消滅しているため中国人がやっているとなかなか分からなくなってしまった。しかしながらやっていることは変わらない。さらに調査した結果、「WEB魚図鑑の部屋」においてもこのページについて警告を出していたことが判明した。ちゃんと、そういう対策はしていたようで少し安心。

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アカガレイ

2025年03月07日 11時36分24秒 | 魚紹介

最近入手した魚。つくば市内のディスカウントストア「トライアル」で購入したカレイ科の魚。実はつくばのトライアルには魚屋さんがテナントに入っていて、ディスカウントストアとは思えないほど魚のそろえがよい。過去に「マツカワ」や「アサバガレイ」などを購入したのもここであるが、何気にアサバガレイを入手できたのはここだけだったりする・・・。

今回のカレイはアカガレイ属のアカガレイである。アカガレイは北日本太平洋岸や山陰以北の日本海岸に分布する種で、おもにカレイ刺網や底曳網漁業などで漁獲される普通種である。椎名さんもアカガレイを食べたのはもちろん今回が初めてというわけではなく、過去2回ほどネタにしている(それでも「魚のぶろぐ」初出は2016年だったりするのだが)。なおこの日のトライアルにはマツカワとババガレイも並んでいたのだが、いずれも安易に購入できるお値段ではなく、今回はアカガレイをチョイス。しかしながらそれでも安価なわけではなく、500円硬貨1枚では買えないのである。

前回のアカガレイは北海道産であったが、今回のアカガレイは福井県産である。先述のようにアカガレイはけっこう南、山陰地方まで見られ、しばしば漁獲されるのである。

アカガレイの無眼側

アカガレイの名前の由来は無眼側の色彩である。無眼側は白いとされるが、赤みをおびるところがある。これにより全体的に白っぽいソウハチとは容易に見分けられるだろうが(ほか眼の位置や胸鰭軟条が分岐するか不分岐かでも見分けられる)、同じ属の魚であるウマガレイやドロガレイとは歯の形や体高、頭部有眼側の鱗の分布などで見分けるしかないだろう。

アカガレイは重要な食用魚である。煮つけ、唐揚げ、干して焼くと美味しいが、新鮮なものは刺身が美味しい、とされている。ということでアカガレイの刺身を楽しみたかったのだが残念ながら今回のは「子持ち」ということで母のリクエストで煮つけとなったのである。アカガレイの身はやわらかく、卵はぷりぷりしていていずれも美味しい。尼岡邦夫氏の「日本産ヒラメ・カレイ類」という本では「塩漬けされた卵巣は珍味」との記述がある。食べてみたいが、プリン体は大丈夫だろうか。気になる。

 

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バラチゴダラ

2025年03月01日 16時32分01秒 | 魚紹介

3月に入りました。

相変わらず仕事が忙しく、どうしようもない。さて、今回の魚はタラ目・チゴダラ科・チゴダラ属のバラチゴダラ。確実に同定できるものとしては、私が触った2種目のチゴダラ属の魚である(エゾイソアイナメはチゴダラのシノニムとして消えてしまった)。チゴダラ属の中でも比較的新しく1989年に新種記載されたもので、学名をPhysiculus chigodaranusというが、種小名はチゴダラにちなむものなのだろう。この種は1989年にチゴダラ属や、ナガチゴダラ属の分類学的再検討の中で新種として記載されたものの1種だというが、その文献を見ることは叶っていない。この属は40種ほどが知られチゴダラ属の中で最も多くの種をふくむ属といえるだろう。

第2背鰭と臀鰭、胸鰭、尾鰭が赤みを帯びている。このことから「バラチゴダラ」という標準和名になるのであろうか。底曳網で漁獲されたものであるため、残念ながら鱗はほとんど脱落してしまっていた。なお比Fishbaseにおけるコモンネームで「Rosy cod」なる名前のチゴダラ属魚類は、学名でPhysiculus roseus Alcock, 1891と呼ばれるもので、ベンガル湾からオーストラリア、インドネシア、ニューカレドニア、台湾などに分布する。本種は鹿児島県のものをタイプ標本とし、ほか土佐湾や三重県尾鷲でも記録されている。またFishbaseによれば台湾からの記録もあるという。「日本産魚類検索」によれば生息水深は不明ではあるが、ヨロイイタチウオやキュウシュウヒゲ、オオメハタ属が混獲されていたことから、200~250mくらいではないかと思われる。おそらく鹿児島県内で盛んにおこなわれている、タカエビ漁の副産物であろう。

第1背鰭の形状は日本産チゴダラ属と違って、糸状に伸びている。以前このぶろぐでも紹介したソコクロダラなども背鰭が糸状に伸長しているが、ソコクロダラは臀鰭起部が背鰭起部の直下よりもだいぶ後方にあるため見分けられるようである。本種などチゴダラ属は原則、臀鰭起部は背鰭起部の直下にある。

腹面発光器は三角形で、左右の腹鰭基部を結ぶ線に達するとされるが、この個体は微妙なところである(写真も暗くなってしまった)。ただし、チゴダラのものとは違う独特な形状のものであることから、バラチゴダラと同定してもよいのだろう。今回バラチゴダラは2匹入手。鹿児島魚市 丸万 田中水産の田中 積さんに送っていただいた。いつもありがとうございます。なおバラチゴダラの食レポについては、また今度。

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スギ

2025年01月21日 18時40分39秒 | 魚紹介

忙しくて書くネタがほとんどなく久しぶりのぶろぐ更新。1属1種の大型魚、スギ科のスギ。

スギはコバンザメによく似ているが、コバンザメ科はコバンザメ科、スギ科は本種のみの1科1属1種。コバンザメ科もスギ科もアジ科に近縁とされている。スギは頭部背面の小判があれば、もうそのまんまコバンザメであろう。スギは以前大型の個体を入手していたのだが、今回はより小型の個体。なんとまな板の上に乗るようなサイズなのである。標準体長335mmというのは、これまで見てきたスギとしては最小の個体で、これだけ小型だと当然ながら比較的安価なものである。しかし燃料代の高騰で運賃もだいぶ上がってしまっている。はやく燃料安くしてくれー。政治家の皆さん、期待してますよ。

ちなみにこのスギは前回の沖縄産「ふかやーまじく」ことキビレアカレンコと同じ便で我が家に到着。沖縄ではスギを養殖していることで有名であるが、これは長崎県産のよう。ほぼ全世界の暖かい海に生息するスギであるが、日本においても日本海・太平洋・東シナ海に見られるが、瀬戸内海では少なく、オホーツク海には見られない。ただし日本海についてはロシアのピーター大帝湾からも記録があるという。

スギのお刺身。かつてスギは「くろかんぱち」なる名称で販売されていたが、現在はそう呼んではいけないことになっている。しかし実際に味はカンパチなど、ブリ属に近いように思う。ぎとぎとでない、程よい脂がのり美味である。今回は短いが、忙しいのでこの辺で。今回のスギもマルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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