花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

膝栗毛における日坂事件の顛末

2024年06月28日 | ひろ助が巡る花の東海道

「四日市とんま大使が乱入!/馬の耳に念仏ダンス/PEEP SHOWさん」 (youtube.com)

さて、日坂事件の顛末です。

すでに夜も8時過ぎ、午後10時。まわりの拍子木の音枕に響き、台所に明日の支度の味噌をする音も止みければ、只 犬の遠吠えのみ聞こえて、もの淋しく更けわたるに、北八は「よし」とそっと起きい出、奥の間を窺えば、行灯消えて真っ暗闇。そろそろと忍び込み、探りまわして、かの巫女(いちこ)の懐へにじり込むと、思いのほか、この巫女の方より物も言わず、北八の手を取って引きずり寄せる。北八は「こいつはありがたい」とそのまま夜着をすっぽり、手枕のころび寝に、仮の契りの込めし後は、二人とも前後も知らず鼻付き合わせてグッと寝入る。(北八ッさん、やっちまった―ッ)

さて、弥次郎兵衛はひと寝入りして目を覚まして起き上がり「もう何時だ知らぬ。手水(ちょうず)に行こう。こりゃ真っ暗で方角が知れぬ」小便に行くふりにて、これも奥の間に這い込み、北八が先を越したとはつゆ知らず、探りによって夜着の上からもたれかかり、暗がりまぎれにかの巫女と思い、北八がムニャムニャ云う唇をねぶり廻しあんぐりと噛みつく。北八肝をつぶして目を覚まし「アイタタタタ」「オヤ北八か」「弥次さんか、エエきたねえ ペッペッ」北八と寝ていた巫女(いちこ)も目を覚まし「コリャハイ おまいちはなんだ。そうぞうしい。しずかになさろ。むすめが目を覚ますに」そういう声は婆(ばばあ)の巫女。北八は二度びっくり。こいつ娘と取り違えたか。いまいましいと這い出て、こそこそと次の間に逃げ帰る。弥次郎も逃げんとするを巫女、手を取って引きずりながら「おまえ、この年寄りを慰んで、いま逃げることはござらぬ」「いや人違いだ。俺ではない」「インネそういやしなますな。わし共は、売淫を商売にしませぬが、旅人衆の夜の添い寝でもして、ちっとばかしの心づけをもらうが世渡り。存分になぐさんで、只逃げるとは厚かましい。夜の明けるまで、わしの懐で寝やしませ」「これは迷惑な。ヤイ北八 北八」「あれ 大きな声を出しますな」「俺は知らぬこと、北八め、とんだ目にあわしやァがる」

巫女(いちこ)ぞと おもうてしのび 北八に 口をよせたる ことぞくやしき 


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