花の四日市スワマエ商店街

表参道スワマエ商店街会長のひとり愚痴

『新しき土』①

2020年12月08日 | レモン色の町

満州を走ったあじあ号。狭い日本から脱出して大陸への進出を促す。

某氏からお借りしたDVD。すごい映画が残されていた。「新しき土」は、1937年(昭和12年)公開の日独合作映画だ。初主演である16才の原節子がウリという触れ込みだが、満州事変(昭和6年)以後の、国際連盟を脱退(昭和8年)、日独防共協定を締結し(昭和11年)大陸進出へ向かう日本の世相が、ドイツ人からの観光目線で描かれている。

海外留学から帰国した青年を主人公に、彼と対立する家族や許嫁の葛藤、彼らを包む日本の地理や文化を、ドイツ人であるゲルダ・シュトルムの視点から描いた作品である。

8年ぶりに日本へ帰る船内。日本とナチスの旗が並んでいる。

“新しき土”とは満州のことを指しており、唐突なラストシーンも日本の満州進出を喧伝するものになっている。一方でこの映画の製作背景には、日本とドイツの政治的・軍事的接近の目論見があった。ナチス党の人種主義では有色人種を良く思っていなかったため、ドイツ側は日本のイメージを持ち上げることで同盟の正当性を主張しようとしたのである。1936年2月8日の撮影隊の訪日には日独軍事協定締結交渉の秘密使命を戴したフリードリヒ・ハックが同行、同年11月25日に日独防共協定が締結に至った。 (ウィキぺディアより)

映画が日独防共協定締結に一役買っていたのだ。ただし、内容はいたって陳腐。殆どが日本の観光映画で、最後は噴火する山(富士山か?浅間山を設定?)を彷徨するシーンが延々と続く。しかし、昭和12年の日本は、空気が澄み渡り自然は美しかったのかと驚かされる。観光風景を探して、監督は日本全国を歩き回ったのか、名所旧跡は大阪の阪神電車、鎌倉の大仏、広島の厳島神社、静岡の富士山と三保の松原等、転々としている。

船内の機関室を見るドイツ人女性

日本人男性は独逸を持ち上げる

戦前がすべて否定されている現代日本に、こんな作品が残されていたことに驚く。

 

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