光文社発行の「少年」が創刊されたのは、昭和21年、戦後間もないころだった。そして、昭和43年3月号で休刊を迎えることになる。これはその時の、最後のあいさつ文である。
昭和37年4月号 長嶋茂雄さんといすゞベレル
この号を最後に、私たちと皆さんを結ぶ「少年」は、しばらくお休みすることになりました。
この3月号は第23巻第3号、人間に例えれば「少年」はすでに成人の日を過ぎ、もう大学を卒業する年になったところです。
この長い年月「少年」は、いつも日本中の少年諸君の良い友達としてそだってきました。私たちは、これからもずっとずっと、愛読者の皆さんと一緒に「少年」をつづけていきたいのです。しかし、ここ4~5年の間のあいだに、少年諸君のまわりには、あるいはテレビ、あるいは週刊誌と「少年」をはじめとする月刊誌がこれまではたしてきた役割を、かわって受け持つ新しい友達がつぎつぎにふえました。月1回発行の少年雑誌を待ち望んでくれる人たちの数は、次第に減ってきたのです.
こんなわけで、私たちは「少年」を、いままでのような内容、いままでのような値段で、みなさんにお届けすることができなくなってしまいました。
私たちは、このことをとてもさびしく思います。しかし、日本で一番歴史の長い少年雑誌として、22年という年月の流れの中に「少年」を通じて、数えきれないほど、たくさんの仲間ができ、同じ少年時代の思い出をわけあうことができたことを、うれしく思います。みなさんが、やがては学校を卒業していくように「少年」はいま卒業の時を迎えたのです。
たとえば「少年」は出なくなっても、私たちと作者の先生方とが、一生懸命作りだした漫画や小説の主人公たちが、皆さんの心のどこかで生き続けていくことを、私たちは願っています。みなさんが大人になり、こまったことにぶつかって、どうしてよいかわからなくなったとき、それらの主人公の顔を思い出してください。あるいはアトムの強さが、あるいは南郷勇一の明るさが、あるいは若林真一のまけじ魂が、きみをはげましてくれるでしょう。
私たちのこのねがいが、たとえひとつでもほんとうになったら、私たちはしあわせです。「少年」は、みなさんといっしょに、いつまでも生き続けたことになるのです。 少年編集部
※ 懸賞「あげます」などで、4月以降に当選者発表のものは、商品発送をもって発表にかえさせていただきます。
月刊雑誌「少年」は、鉄腕アトム・鉄人28号・矢車剣之介・ナガシマくん・サスケ・シルバークロス・ダルマくん・海底人8823・まかせて長太・シャドウマン・もうれつ先生・電人アロー・忍者ハットリくん・ストップにいちゃん・少年探偵団など多くのヒーローを生み出してきました。
昭和38年7月号の付録より<戦車>