1月27日「東京物語」を上映させていただきました。
寒い中、大勢の方にお集まりいただき、小津監督の映画を今日まで続けられたことがありがたく、感謝の気持ちでいっぱいでした。
Tさんが早速感想を届けていただきました。ありがとうございました。
小津氏の文豪志賀直哉への敬愛の情をうかがわせるエピソードがあります。
ある日、小津氏が奈良市内でロケをしていると、当時近くに住んでいた志賀氏が家族を伴って見物に来たので、彼は直立不動で挨拶。ロケは中止になったとか
。
前回の「お茶漬の味」に使われていた“ひさご”と“あざみ”の絵柄の浴衣が出てきて懐かしかったですね。
昭和28年頃は、家庭電化はまだまだ夢の世界。勿論、扇風機などなく、団扇が大活躍。この作品の中でも終始沢山の団扇が登場(うちわが主役かと思うほど)。
掃除用具も、はたき、箒、雑巾の“三種の神器”がどこでも使われていましたね。紀子の住む三畳一間のアパートは、共同流し、共同トイレで赤ん坊のいる家族までいて・・
緊急連絡には電報が主流。文化生活にはまで遠い時代でしたが、精神面では現代よりずっとしっかりしていたのではないでしょうか。
尾道の二人の少女の挨拶の仕方、紀子の挨拶の仕方等に、日本人の礼儀正しさや日本語の美しさが溢れていました。
私は、この作品の主役は、ひょっとしたら末っ子の京子ではないかと思っています。兄や姉たちは皆サッサと都会へ出てしまい、老父との二人暮らしを余儀なくされた心優しい京子のこれから辿る運命やいかに!
「東京物語」続編“尾道物語”(?)を勝手に想像してしまいました。