酒を呑めば酔う。大酒を呑めば、時には泥酔をする。
SMAPメンバーの草なぎ剛が逮捕された。「公然わいせつ罪」の現行犯であった。35時間の拘禁だった。
例によって、テレビは連日の大騒ぎ。どのチャネルでもワイドニュースで取り扱っていた。
報道によると、23日の深夜、大量に酒を呑んだ上、赤坂付近の公園で素っ裸になり、奇声を発していたらしい。
近所の人の通報の通報によって、逮捕劇となった。
家宅捜査まで行われた。薬物を用心してのことだったのだろうか。識者の話では、このような場合、通常家宅捜索があってもおかしくないらしい。
人気タレントとは言え、これほどの騒ぎになるのは珍しい。
鳩山総務大臣は、「最低の人間」発言をしてすぐさま取り消したりした。彼らしい軽薄なドタバタ。余分な付録物語が付加された。大臣とも思えない。腹の浅さが見えてしまう。
私の知人をはじめ、街の人のコメントは草なぎ君に同情的だ。
「あんなに真面目で、誠実そうな人なのに……」
「酒呑んで騒いだだけでしょうに、逮捕はひどすぎたわよねえ」
「家宅捜査をするほどのことだったのだろうか」
「きっとストレスが凄かったんだねえ」
概して言えば、極めて同情的だ。逮捕した上、家宅捜査をしたことも気に入らない様子。
街の声は面白い。虚像か実像か知らないのに、テレビでの「草なぎ剛」像をもとに発言している。
それはそれでいい。しかし、泥酔した上での公然わいせつ罪は事実だったのだ。明らかなる刑法違反。
だとすれば、「逮捕」に対する批判や非難はあたらない。警察が法律に照らし、粛々と役目を果たしただけだ。
要は今後の処分だ。起訴するとか、起訴しないとか、法的な処理が進められるとき、捜査で明らかになった事実に彼の日頃の行状や弁明を加味して、判断されるのだろう。
テレビや映画で見ている草なぎ剛が、真の彼であるかどうかもわからない。
「酒飲みは本性を違わず」という言葉もある。なにしろ、酒はきちがい水なのだ。
私の後輩に、他人の宴席に入り込んで、カラオケを唄っていた男がいた。
「あっ、この歌は唄える!」 そう思って、よその宴席へ入ってしまったのだ。やはり、どこか判断の捻子が緩んだのだろう。
翌朝、唄ったことは綺麗に忘れていた。
呑めば判断が狂ってしまう人はいるのだ。しかも、それは癖になる。
そんな観点から見て、G7の折の中川前大臣の件を、どのように思えばいいのだろうか。
大臣は辞任した。しかし、国会議員を辞めたわけではない。
日本国の信用も権威も失墜した事件だった。国は大きな損害を被ったはずなのだが。
国会議員は選挙民に選ばれた人。その事実があるので、酔っぱらって外国から大笑いされたぐらいでは、議員を辞めなくていいのだろうか。妙な文化だ。
間もなく「裁判員制度が」が始まる。
今回見せた街の反応は、今後の具体的な裁判にあっても現れるのだろうか。
裁判員制度の難しい所以だ。
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