新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

いのちに謙虚

2009年04月24日 00時44分43秒 | 写真俳句・エッセー

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 一昨年の暮れ。

「胃ガンですねえ」

 女医のAさんがこともなげに言った。

「胃ガンですって?」

 私は聞き返した。聞き返す必要もないのに聞き返した。

「ええ、胃ガンです」

 A医師は淡々と答えた。

(そうか、やっぱりなあ)

 動揺しなかったと言えば嘘になるかもしれない。と言って、胸が騒ぎまくったわけでもない。

 お袋が胃ガンで死んだのは、50年前だ。享年48歳だった。

(死ぬときは胃ガンだな)

 私はそんな風に思っていた。まして、お袋より25年も長く生きている。

 そんな経緯の後、一昨年の12月に胃ガンを除去した。

 年末ギリギリに退院の運びとなった。

(年内に帰れたのはラッキー!)

 そう思っていた私を、2発目のショックが襲ってきた。

 退院前日、念のために行った検査で、腎臓ガンが見つかったのだ。

「幸運ですよ、早期ガンです。年明け早々に手術しましょう」

 泌尿器科の医師は一方的に言った。

「胃ガンが転移していたのですか」

 私は恐るおそる聞いた。転移ガンだとすれば、ほかにもあるかもしれない。

「違うと思います。まあ、正直な話、取って見なければ分かりません」

 年が改まった昨年の1月に、腎臓ガンを除去した。

 年末年始を挟んで、二つのガン。いい気分はしなかったが、落ち込みもしなかった。ここまでくれば、医師に生命を預けるしかない。自分自身ではやりようがない。

「来るべきものが来たんだな」という思いはあったが、同時に、「まだ死ねないぞ!」という気持ちも強かった。

 幸いにも、転移ガンではなかったとのこと。

 経過観察をしながら、もう1年余が経過した。まだ再発はしていない。

 これからのことは分からないが、「いのち」に関して、謙虚になった自分を感じている。

    柿若葉死に脅えたは夢語り  鵯 一平

 別館として、写真俳句ブログの「いのちの囁き」を開いております。

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コメント (13)
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