「お前さん、ここんところ変だよ。一ン日中ボーッとして……。身体でも悪いンかい?」
「だってよー、こんなに仕事がなくっちゃしょうがねーじゃねーか。
こちとら、自慢じゃねーが、江戸っ子なんだ。宵越しの金ァ持たねェ宗旨で、ずーっとやってきたんだ。
突然、明日から仕事はねーよと言われたんじゃ、これからどうすれァいいんだよ!」
「だからさァ、あたしが働くから心配ないって、そう言ってるでしょう?
お前さんはずーっと働きづめだったんだから、身体休めには、丁度いい具合じゃないか。
さっ、お湯でも行っといで!」
馬鹿野郎!男一匹、女房に食わせてもらって、身体休めもあるもんか。
どうしてこうなんだ。
女房に着物一枚も買ってやれねえどころか、飯を食わせてもらうなんて、こんな情けねえことってあるもんか!
つくしんぼ夢を忘れて生まれきて 鵯 一平
別館として、写真と俳句のブログ「いのちの囁き」を開いております。
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