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若者ではなく非モテのための音楽、それがシューゲイズ

2013-06-12 15:17:34 | 音盤ノート
Monoland "Cooning" Supermodern, 2001.

  ロック。ドイツのマイブラ・フォロワーで、1998年にアルバム"Manouva"(Noiseworks Records)でデビューし、2001年にこの"Cooning"で一部の人たちの間で話題になり、2006年にアルバム"Ben Chantice"を発表。以降音沙汰なしで、きっともう解散したのだろう。メンバー四人の写真を見ると、生え際の後退したむさい野郎たちであることがわかる。

  湾曲する壁のようなノイズギターをバックに、抒情的なメロディを線の細い男性ボーカルがたどる、というのはもはやシューゲイズの王道だろう。だが、このバンドは曲の半分以上がインストというのが特徴である。インスト曲では、シンセサイザーを多用してシューゲイズ風の内省的なアンビエントを聴かせる。それなりに面白さもあるが、あまり期待されていないことに時間を割きすぎているという気がしなくもない。ボーカル曲の三曲‘De Pale’‘Motel Fumatore’‘Honolulu’はいずれもメロディがすばらしくクオリティが高いので、このスタイルでアルバムの8割を埋めてほしいところである。おそらく、メンバー内で路線対立があったのだろう。そういうわけで絶賛というわけにはいかないが、シューゲイズファンならば上記三曲は聴いてみる価値はある。

  シューゲイズには、楽器の技術皆無の若造が青春の美を表現するために選ぶジャンルという神話があるが、astrobrite、all natural lemon & lime flvors、letting up despite great faultsなどマイブラ・フォロワーの写真をじっくり眺めてみると、どうも違う気がする。むしろ、ルックスに引け目を感じている(はずの)非モテ男性が、ぐじぐじと世を嘆いたり現実逃避したりするために使用されているのではないだろうか。年齢は関係ないのだ。だからこそ、この僕も惹きつけてやまないのだろう。
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