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フランス発「琴」入りエレクトロジャズアンサンブル

2011-06-13 10:30:20 | 音盤ノート
Michel Benita "Ethics" Zig Zag Territories, 2010.

  ジャズ。欧州系の熱気の無い非4ビートジャズに、エレクトロニカ少々、エスニック風味少々といったところ。ミシェル・ベニータは1954年アルジェリア出身のフランス人ベーシストで、人力クラブジャズで知られる仏人トランぺッターErik Truffazの"Mantis"(Blue Note, 2001)の録音メンバーにその名前が見える。

  楽器編成は、基本"Mantis"と同じ構成で、さらにそれに琴を加えたものである。ドラムは同じくMantis組のPhilippe Garciaで、エレクトロニクスも担当している。ギターはノルウェー人Eivind Aarset、ソロは控えめに全体の雰囲気を作り上げる空間系の音処理(エコーかけまくり)で貢献している。トランペット兼フリューゲルホーンのMatthieu Michelについては不明だが、これといった特徴の無い印象である。

  琴はミヤザキ・ミエコなる日本人女性が担当しており、彼女がさらにボーカルも聴かせる。キャリアの詳細は1)参照。楽器としてはハープのように使われており、テンポの遅い幽玄なアンサンブル演奏にもうまくマッチしている。ボーカルの方はデビューした頃の矢野顕子に近く悪くない。Youtubeでこのグループの映像を探したら、和服を着て演奏する彼女の姿を拝める。

  すべての曲はゆったりしている。いくつかの曲は、琴またはAarsetのレイヤーによる不穏な調子ではじまり、トランペットさらにはボーカルが加わり、音圧を上げて終わるというパターンで終わる。まとまってはいるものの、耽美路線にいくのか、実験路線にいくのかどっちつかずで、今一つ盛り上がらないという印象である。取り合わせの面白さでこのアルバムは聴けるものの、次作以降の課題だろう。

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1) Mieko Miyazaki Koto
http://www.miekomiyazaki.com/indexjapan.html
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