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宇宙における位置から地表・球の中心部まで地球のことなら何でも

2017-03-13 12:59:16 | 読書ノート
鎌田浩毅『地球の歴史』中公新書, 中央公論, 2016.

  タイトル通り。上中下巻の三部構成で、それぞれ『水惑星の誕生』『生命の登場』『人類の台頭』という副題が付されている。著者は京都大学の地学の先生で、けっこうな数の著書(狙ってなのか新書が多い)を出している。

  上巻では、物理学を使って、宇宙の始まりから、銀河系、太陽系の形成までをさらっと述べた後に、地球の成り立ちと地殻変動、水と大気について詳しく解説している。太陽からの絶妙な距離は、地球から水を蒸発させて宇宙に逃すこともせず、一方で氷にもせず、液体のまま地表に存在することを可能にした。これこそが地球の特別なところだという。中巻では、海中火山の傍らで原始的な生命体が誕生して以降の、生命のあゆみについて述べている。生命は、光合成によって地球の大気に酸素をもたらし、石と砂ばかりの地面に海から上陸して地表を変えてきた。一方で、全球凍結や氷河期、火山の噴火などで大量絶滅を数度経験してきたという。下巻は、現在につながる大陸や気候、および日本列島の形成、哺乳類や人類の登場についてである。残り50億年で太陽は巨大化して地球を飲み込む。そのときに地球の歴史は終わる、と締めている。ただし、その前の10億年後の段階で地表の水がすべて蒸発してしまい、あらゆる生命が住めなくなっているという。

  以上のように、人間社会のことが儚く感じられるほどの長いタイムスパンでの議論で、物理化学から地学、生物学の知見を総動員してまとめられている。プレートテクトニクスの解説はかなり丁寧で、大陸が物理法則にしたがって動いているのだというのがよくわかる。一応、一般向けの新書ではあるが、専門用語もふんだんに使われており、分量もあってけっこう硬い。僕のような文系人間は圧倒されてばかりだった。
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