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A5版書籍を三分冊で文庫化するデメリット

2011-11-21 13:04:36 | 読書ノート
塩野七生『ローマ人の物語』新潮文庫, 新潮社, 2002-2011.

  今夏に最後の巻の文庫版が出版され、全巻読了。全15巻となるハードカバー版は、1992年から2006年まで続いてすでに終了している。その文庫版はそのハードカバー版一巻相当分を三分冊にして、最低5年の期間を置いて発行するというサイクルだった。

  この三分冊というのが微妙に使いにくい。上・中・下巻と読み進めるうちに、以前の巻に登場したはずの家系図や地図を確認しようとすると、上だったか中だったかよく覚えていないので検索に時間がかかる。一巻200ページ前後の長さなので携帯しやすいことは確かである。だが、難解な内容ではないので、短い時間でかなりのページを読み進めることができる。そのため、電車で往復数時間かかるような外出のときは、結局上中下巻三冊持って歩くことになる。だったら、分厚い一冊にしてくれたほうが管理しやすい。営業的にも、分冊しないほうが売上が見込めたのではないだろうか?上巻だけ買われて、中巻・下巻が売れ残るというのはよくあることなのだから。

  とまあ、文庫形態には難癖つけたくなるが、こうした薄い三分冊化は、文庫版の先駆たるアルド版に感心した著者からの出版社への注文らしい(出典は忘却)。中公文庫では二分冊だった『海の都の物語』(参考)も、新潮社では6分冊化されて発行されている。『ローマ人の物語』の内容についての説明は省くが、全43巻だからといって老後にとっておいたりせず、若いうちに読んだ方がよい。
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