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読解力における学習効果においてマンガは活字の本より劣る

2013-08-13 20:55:51 | 図書館・情報学
  最近のエントリで、マンガを読むことは所得にマイナスの影響を与えるということを記した。この件についてもう少し加えておきたい。マンガと活字の本の間には、その学習効果において差が無いと考える人がけっこういるようだ。彼らに言わせれば、マンガばかり読んでいるのに仕事のできる人もいれば、活字中毒の馬鹿もいるというわけである。しかし、統計的にはそんなに甘い話ではないことがわかっている。

  すでにマンガが学校成績に与えるマイナスの影響について示した調査がある。吉岡亮衛による中学生を対象とした調査1)(『読書教育への招待』所収)である。調査では、最近一か月間何も本を読まなかった「非読者群」、マンガだけを読んだ「マンガ群」、マンガも本も読んだ「本マンガ群」、本だけを読んだ「本群」の四つのグループに生徒を分け、読解力試験の結果を比べている。すると、非読者群の平均点がもっとも悪く、次にマンガ群のそれが悪かった。本マンガ群と本群は前二つの平均点より高かったが、本マンガ群と本群の間には差が無かった。すなわち、何も読まないよりはマンガを読んだ方が点が良いが、本を読んだ方がもっと良くなる。しかし本もマンガを読む生徒は、本だけを読む生徒と同程度の点数になるという。(ただし吉岡論文は上の話だけに焦点をしぼったものではない)。

  以上のようなわけで、子どもを持つ親に対しては、もし子どもが「マンガしか読まない」ならば、やはりその学力を危惧したほうがよい、とアドバイスできる。結局、社会で出会う文書の多く──仕事やお役所でこなさなければならない文書や、あるいは電化製品や薬の使用説明書──は、マンガの文法や語彙で書かれているわけではないのである。なので、読める文書様式の幅は広くもっておいたほうが良い。もちろん、何も読まないよりはマンガを読んだ方が良いということもあるので、上はその段階をクリアした後の話であるが。

  大学の授業でこのような話をしたら、かなりの数の学生(しかも全員教職志望者!!)がひどく驚いていた。この反応には教えているこちらが面喰らってしまう。今時の学生は、漫画も活字の本も等価だという、価値相対主義的な雰囲気で育っているんだろうか。

1) 吉岡亮衛“中学生の読解力と読書活動の関係”『読書教育への招待:確かな学力と豊かな心を育てるために』国立教育政策研究所編, 東洋館, 2010.
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1 コメント

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Unknown (jm)
2015-10-20 06:10:11
まんがそのものではなく、まんがしか読まないという態度・習慣・環境が学力に影響しているだけですな。

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