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混沌の中に明滅するエレピの音色が美しい初期フュージョン

2012-12-05 15:34:11 | 音盤ノート
Herbie Hancock "Mwandishi" Warner Bros., 1971.

  ジャズ。正確には"Bitches Brew"影響下の初期フュージョンで、ダークで混沌とした音を聴かせる。エレクトリックピアノを操るハンコック以下、Buster Williams (Bass), Billy Hart (Drums), Eddie Henderson (Trumpet / flugelhorn), Bennie Maupin (Bass clarinet etc.), Julian Priester (trombone)という六重奏団に、曲によってはゲスト入る。

  長尺オリジナルを三曲のみ収録している。演奏は、エコーをかけたフェンダーローズがきらめく中、これまた電気処理された管楽器が登場してきて、反復ビートにのったりフリー演奏になったりするというもの。ドラムとベースは"Bitches Brew"よりシャープに感じられる。管楽器隊はあちらに劣るものの、カオス感を出すことには成功している。

  個人的には、この前作"Fat Albert Rotunda"(Warner, 1969)を先に聴き、そのジャズロック路線が気に入らなかったために、食指の動かなかったアルバムである。今さらながら聴いてみたら、能天気な前作とまったく雰囲気の違う、シリアスで実験的な作品であった。まあ、聴きやすい作品というわけではないが、ハンコックの甘さの少ない美的センスも十分感じられて悪くない。
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