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顔と性格との関連を分析、特に童顔にこだわりあり

2012-12-07 10:34:04 | 読書ノート
レズリー・A. ゼブロウィッツ『顔を読む:顔学への招待』羽田節子, 中尾ゆかり訳, 大修館書店, 1999.

  顔をめぐる心理学の一般書籍。原書は1997年発行。顔を手掛かりとして、持ち主の性格や、進化論でいう適応度などが読み取れるかという問題を扱っている。で、後者については、左右対称あるいは平均的な顔というかたちで現れるらしい。つまり、そういう顔は、見る側にとって魅力的に感じられる。しかもその感覚は生得的であるということだ。この話は進化心理学関連の他の書籍でもよく出てくる。

  性格と顔の関連についての話の方は込み入っている。まず、一般の人は、顔のタイプに応じた性格の先入観をもっているという。童顔の人は従属的でやさしい、ごつい顔の人は怖くて厳しいなどだ。そうした先入観は、採用面接や犯罪者の量刑にも影響する。しかし、それは多くの場合正確ではないとのことた。ただし正確な場合もある。そうした先入観が、その持ち主の実際の性格に影響する場合である。そうしたケースについても考察しているが、持ち主の属性や置かれた環境によって先入観に沿う形になったり、逆にそれを打破する方向にも働き、いろいろだという。

  全体としてまだわかっていないことが多いとのこと。一方で、童顔については頻繁に採り上げられており、著者のこだわりを感じる。小ネタは面白い(マスメディアで魅力的な異性を見続けていると、身近にいる異性に魅力が感じられなくなる、など)。だが、一文に含まれる修飾語が長くてちょっと読み難い訳である。
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