John Surman "A Biography of the Rev. Absalom Dawe" ECM, 1995.
英国のジャズ系のリード奏者だが、この作品は管楽器による室内楽と表現した方が正確。それも多重録音によるもので、ソプラノサックス、バリトンサックス、バスクラリネット、アルトクラリネットなどを各曲で操っている。多重録音と言っても分厚く重ねてあるわけでなく、メインの楽器一つに、自身が演奏するシンセサイザーか、または薄く重ねた管楽器がバックで使用されるのがせいぜいのところ。あくまでもソロを中心に聴かせる趣向で、凝った編曲とはなっていない。
曲もスローなものばかりで、ソロも哀愁を帯びたメロディを聴かせるのに徹している。技巧的に"聴こえる"局面はあまりない(響きはかなり滑らかなのだが、実際は難しいことをやっているのだと推測される)。なので、スリルもなく、琴線に触れるような瞬間も無く、一聴して素晴らしいという印象を与えない。しかし、夕暮れを飛翔するような独特のメロディセンスはかなり耳に残る。その、時の流れを忘れてしまうような「黄昏の中の浮遊感」は、気分によっては魅力を感じるときがあるだろう。
英国のジャズ系のリード奏者だが、この作品は管楽器による室内楽と表現した方が正確。それも多重録音によるもので、ソプラノサックス、バリトンサックス、バスクラリネット、アルトクラリネットなどを各曲で操っている。多重録音と言っても分厚く重ねてあるわけでなく、メインの楽器一つに、自身が演奏するシンセサイザーか、または薄く重ねた管楽器がバックで使用されるのがせいぜいのところ。あくまでもソロを中心に聴かせる趣向で、凝った編曲とはなっていない。
曲もスローなものばかりで、ソロも哀愁を帯びたメロディを聴かせるのに徹している。技巧的に"聴こえる"局面はあまりない(響きはかなり滑らかなのだが、実際は難しいことをやっているのだと推測される)。なので、スリルもなく、琴線に触れるような瞬間も無く、一聴して素晴らしいという印象を与えない。しかし、夕暮れを飛翔するような独特のメロディセンスはかなり耳に残る。その、時の流れを忘れてしまうような「黄昏の中の浮遊感」は、気分によっては魅力を感じるときがあるだろう。