私が買う近代建築本(とにかく写真が多いものを好む)の中では比較的文章量が多い本ですが、いやいや素晴らしいです。
本の帯より
【時代を証言する貴重な財産】
懐かしき日のキャンパス、名建築の数々。
後述の10校のキャンパスと建築、その歴史が美しい写真と共に綴られており、見応え・読み応えたっぷりなのですが、第1章「学び舎の魅力」で、人間力の形成と環境、半公共建築としての大学などについて語る筆者の熱い想いが素晴らしいです。
卒業生が、ある日懐かしいキャンパスを訪れた際に、自分の学んだ
時代の面影がまったく消え失せてしまっていたらどうだろうか。おそらく、
そうしたキャンパスには愛着は感じられないだろうし、そもそも、自分
たちの受けた教育とはまったく異なった教育がさされているのではないか
と失望してしまうのではあるまいか?
・・・(中略)・・・
自分の在学中の建物が凛として存在していたら、そこに自分の存在が
重なって見えるだろし、自分の受けてきた教育の普遍性を感じるだろう。
それがひいては愛校心ともなるし、在校生は、そうした古い建築に信頼に
足る歴史性を見いだし、また、卒業生の残した息吹をとおして大きな力を
受け取るのだ。
①慶應義塾大学、②東京慈恵会医科大学、③自由学園、④東京海洋大学、⑤東京女子大学、⑥東京大学、⑦日本女子大学、⑧明治学院大学、⑨立教大学、⑩早稲田大学
私が探訪したことがあるのは、①③⑥⑧⑨の5校です。②④⑦のキャンパス&建築のことは全くと言っていいほど知りませんでした。④の構内(旧東京商船大学構内)にある帆つき汽船の佇まいも良さ気です。女子大は男性建築探偵にとってはなかなかの難敵で、文化祭とかでも卒業生の知り合いとかがいないと行きにくいやろなあ。。。
この本を読んで、東京方面出張が楽しみになりました。まあ、全く探訪時間のとれない出張が多いのですけれど。