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ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

顔FACE(横山秀夫)

2005-01-30 12:41:00 | 17:や行の作家
kao-1顔FACE(徳間書店)

横山秀夫の小説を読んだのは5冊目ですが、婦警・平野瑞穂が主人公ということもあって、これまでの作品とはやや味わいが異なりました。良い意味でライト感覚と親近感。その分、やや重厚さには欠けますが、そういう作品と割り切りました。瑞穂の観察力とそこからの推論は見事。いい婦警さんになっていくでしょう。

5編の中では「決別の春」が最も印象的で良かったです。ずっと昔の放火殺人事件。その意外な真相が次第に明らかになっていく。そこには悲しい物語が・・・。
この短編をもう少しふくらませ、更に読み応えのある作品に仕上げても良かったかなと思いました。謎解き部分を含めて、そうなり得る内容だったのでは?

「心の銃口」に出てきた老刑事・板垣。淡々としながらもプロらしい的確な仕事。瑞穂がペアを組んだのは束の間でしたが、婦警蔑視の気配もなく、良い脇役ぶりを発揮していましたね。



半落ち(横山秀夫)

2005-01-27 21:53:00 | 17:や行の作家
hanochi-1半落ち
(講談社)

直木賞へ決別宣言することになった横山秀夫の問題作。

横山作品は「陰の季節」「動機」と読んで、その着眼点・描写力・人物造形力に舌を巻いていました。
本作品では、1つの事件を異なった立場の6人の視点で時系列的に描く手法が斬新でしたが、主人公の心情が分からないもどかしさも。後の「クライマーズ・ハイ」に比べると、やや深みと熱気に欠ける気もしましたが、ラストまで明らかにされない謎には大いに惹きつけられました。最後の方は後ろを隠しながら読んだほどでした。ああ、慟哭の会話・・・。

直木賞選考の際に指摘された問題点は読んでいる最中は全然分からず。選評を読んでも、受賞を逃したのはこの問題点のせいだけではないようでしたし、私の評価もほぼ同様です。「陰の季節」「クライマーズ・ハイ」の方を上位に置きますね。