「母国と家族のために死ぬ」ウクライナのボクシング元ヘビー級王者兄弟が徹底抗戦宣言

「母国と家族のために死ぬ」ウクライナのボクシング元ヘビー級王者兄弟が徹底抗戦宣言

 ウクライナの首都・キエフのビタリ・クリチコ市長(50)は、WBC、WBOの2団体で世界ヘビー級王座を獲得した元世界王者である。ピタリ氏は通算12度の世界王座防衛をはたした偉大なるヘビー級チャンピオンである。キエフ市長であるビタリ氏はロシア軍の侵攻に対し、「国と家族を守るために死ぬ準備ができている」と徹底抗戦の構えを示している。
 ロシア軍のウクライナ侵攻は拡大していき、ロシア軍の砲撃に晒され風前の灯火となった首都キエフであるが、クリチコ市長は身体を張って守ろうとしている。

 ピタリ氏は日本と関係が深い。17歳の時に日本でキックボクサーとしてデビューした。戦績は17勝2敗の戦績である。その後Kー1にも参戦している。Kー1王座に4度も就くなどキックの世界で名を成したピタリ氏だった。1995年にキックからボクシングに転向したクリチコ氏はヘビー級王座についた。そして、通算で12回も防衛した。
 その後キエフの市長選挙に立候補して当選した。
 ウクライナは侵攻したロシア軍の制圧地域が拡大し、いくつかの南部の都市は制圧された。ピタリ氏が市長であるウクライナの首都キエフもロシア軍が侵攻している。

ロシア軍と戦っているピタリ氏は英スカイスポーツのインタビューに、子供を含めて数万人にのぼるウクライナ人が次々と殺されていることを報告した。市民と市内を死守する戦闘で「昨夜、6人(のロシア軍)を殺した」と生々しい状況を明かした。
米CNNの取材には「私たちは母国と家族のために死ぬ準備ができている。誰かが私たちの故郷に来て私たちの未来を盗もうとしている」と述べた。
ピタリ氏の実弟のウラジミール・クリチコは、WBA、IBF、WBOの3団体の統一世界ヘビー級王座を獲得している現王者である。ウラジミール氏もウクライナ軍に入隊し、兄と一緒にウクライナを守るために戦っている。

ほとんどのウクライナ国民はクリチカ兄弟と同じ精神である。ロシア軍が制圧した都市でも市民はロシア兵に「国に帰れ」と抗議し、戦車の前に立ちはだかり戦車を止める。武器を持たなくても体をはって戦っている。
圧倒的に不利な戦いにも心が折れないで堂々と戦うウクライナ国民の姿に感銘し、ウクライナを支援しロシアの圧力に屈しない国や人々が増えてきた。
ロシア国防省は、ルーマニアがウクライナの軍用機の着陸を認めているとして、「軍用機を駐留させたり、ロシア攻撃のため空域を使用させたりすることは参戦と見なす」と警告した。ロシアの警告にルーマニアのチウカ首相は
「民間人を殺害し戦時国際法は無視。現実から目をそらすための修辞にすぎない」
と反論し、
「今後もロシアはルーマニアを脅すかもしれないが「恐怖を感じる理由はない」
とロシアの警告を跳ね返した。チウカ首相はウクライナに味方することを堂々と宣言したのである。
隣のベラルーシはロシア寄りである。ロシア軍がウクライナ侵攻する直前まで合同演習をやった国である。ロシア軍がウクライナ侵攻した後にロシアから軍隊をウクライナに侵攻するように要請されたのでベラルーシ政府は国境まで軍を移動させた。しかし、兵士がウクライナに侵攻することに強く反対した。兵士たちの反対でベラルーシはウクライナに軍隊を侵攻させることができなかった。ベラルーシの兵士はロシアのウクライナ侵攻に反対であるのだ。
ロシアの侵攻を受けているウクライナと、侵攻の危険を感じているモルドバ、ジョージア(グルジア)の旧ソ連3カ国がEU加盟を申請した。EUは検討の手続きを開始することで合意した。ロシアの圧力でNATOへ加入しなかったスウェーデン、フィンランドの北欧諸国はNATO加盟を求める世論が高まっている。もし、ウクライナがロシアの言いなりになっていたら北欧諸国はNATO加盟には向かわなかっただろう。ウクライナがロシアに対して毅然として戦う姿に北欧諸国はロシアと対決する決心をしたのだ。ウクライナの戦いはロシアに弱気であった東欧・北欧諸国に自由と民主主義のためにロシアと戦う決意をもたらしたのである。

軍事侵攻したロシア軍と戦うためにウクライナに集まった外国人義勇兵の数が約2万人に達した。クレバウクライナ外相は「大勢がロシアや、ロシアが近年やっていたことを嫌っていたが、誰も表立って反対したり、戦ったりしてこなかった」と指摘した。その上で、今では「ウクライナ人が戦い、あきらめない姿を見て多くの人々が参戦しようという気になった」と強調した。
外人部隊は守備をウクライナ軍に任せて、キエフの攻撃準備をしているロシア軍に攻撃してロシア軍を混乱させてほしい。攻撃こそ最大の防御である。
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