命拾いしたパパイア

命拾いしたパパイア

 下水道工事をしなければならなくなった。60年前に建てた外人住宅は水洗便所であるが、庭の地下に汚水槽をつくり、汚水はお水槽に流した。汚水槽の汚水は地下に浸透させていた。

 汚水槽は隣の家と共用である。ところが隣は新築することになった。汚水槽は埋めて村の下水道につなぐことにしたという。となると今の下水道は使用できなくなるので私も村の下水道につなげなければならなくなった。工事費用は37万円という。うわー高い。しかし、下水銅工事はやらなければならない。村から10万円の補助金は出るが、それでも27万円の出費だ。27万円はきつい。前の家主を恨む。
 この家に移ったのは2年半前である。前住んでいた外人住宅は地主がアパートを建築するということで立ち退きになった。それで今の外人住宅に移った。前の家主が下水道工事をしていれば私が27万円も支払うことはなかったのだ。周囲の家のほとんどは下水道工事はやっている。この家と隣の家がやっていなかった。前の家主を恨む。しかし、恨んでみたところで27万円が私の懐から出ていくのは変わらない。仕方がない。業者に依頼した。
 
 工事が始まった。下水管はどこに通すかを聞くと、下水管を通す場所は決まっているという。村の下水道につなぐ設置場所すでに工事がされているのだ。それはパパイアが生えている場所だった。もしかするとパパイアが生えている場所かも知れない。下水管を通す場所であるならパパイヤは撤去しなければならない。パパイアはスラブが割れた穴から生えているから根の周囲はスラブであり移植するのは難しい。パパイアの命もこれで終わりか。と思ったが。幸いなことに下水管は写真のようにパパイアから少し離れた箇所であった。ほっとした。命拾いしたパパイアである。

 

 小さかったパパイアはすくすくと育った。周囲はスラブであるから水分はないと思うのだが、枯れることもなく緑の葉を広げて大きくなった。不思議である。


花が咲いた。パパイアには雄と雌があり雄の花は実にならない。このパパイアは雌だった。


 さて、実は普通のパパイアのような大きい実になるだろうか。これからの楽しみである。


前の家に住んでいた時、台風が来てパパイアの葉は吹き飛ばされた。それでもパパイアは葉を失った茎を青空広げて生きようとしている。


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