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遊ぶ

子供は遊ぶのが仕事です。しかし、最近の子供たちは遊びが下手になりました。ひとつにはみんなで外で遊ぶ場所がなくなってしまったことに原因があります。お父さんやお母さんたちの時代は多分、まだ家の近くには空き地も森もあったでしょうから、木登りもしたし、かくれんぼもできたでしょうが、今の子供たちはあまりそういう遊びをしていないように思います。また、6年生から1年生までが連帯になって遊ぶということも目にしなくなりました。昔は6年生のガキ大将がいて、1年生の面倒をみてくれたものですが、学校で新1年生をお世話する仕事はあるにしても、日常でそういうことはあまりやらないようです。
 これは子供たちの成長にとっては、あまり好ましいことではありません。そういう上下関係は、ひとつの社会体験であって、こういう経験が少ないから子供たちが幼くなっているようにも思えるのです。
 
 息子が友達をつれてきたときも、ちょっとびっくりしました。子供が5人いたのですが、3人はテレビゲームの前にすわっていて、2人はマンガを別々に読んでいるのです。おせっかいなおじさんが
「いつも、こんなふうにして遊ぶのかい?」
と聞くと、
「そうだよ。」
と、簡単に言われてしまいました。
「公園とかで、遊ばないの?」
「公園?だって野球もできないし、サッカーもやっちゃだめだし。」
「公園ではできないのかい?」
「おじさん、何も知らないね。バットもボールもつかっちゃいけないんだよ。小さい子供にぶつかると、いけないから。」
「じゃ、君たち、野球はやったことないの?」
「学校ではやるけど。野球やりたい子は野球部にはいるんだね。」
「サッカー部もあるし。」
そうか、そうか。うーん。

そういわれてから、私はひまをみつけて、子供たちを郊外に連れて行くようにしました。サッカーボールをけっても、キャッチボールをしても怒られない場所というのは、結構少ないものですね。

 でも、子供はいろいろ遊びは見つけているようです。そういう環境につれてくれば、後はけっこういろいろなことをやってくれます。

 塾で合宿があるのですが、以前、とにかく広い野原を探そうというので宿の近くの牧場にお願いして、1日子供たちをそこにつれていきました。どこから見つけてきたのか、ダンボールの紙をそりにして、丘をすべりおりるグループ、おにごっこをやるグループ、サッカーを始めたり、野球を始めたり、もういろいろですが、あきもせず、一日中遊んでいました。子供たちにはそういう力が最初から備わっているのですね。

 子供たちが外で遊ばなくなってから、私は子供たちがおこす社会的な問題が増えてきたように感じているのです。昔はそこらじゅうで、子供たちが創意工夫をしながら遊んでいました。しかも小さい子から大きい子までいっしょに遊んでいます。だから、地域の子供たちのことをみな良く知っていましたし、学年が上の子供たちが小さい子供たちの面倒をみていました。こういう遊びの中で子供たちは社会性を身につけていったものです。また子供たちの社会が今にくらべて広いですから、それにかかわる大人の数も多くなります。だから大人が他人の子供をしかる光景もたくさんありました。

 ところが遊ぶ場所がなくなり、子供たちが家の中で遊ぶようになってから、子供たちの孤立が始まったように思うのです。その結果、子供たちはたくさんの人間関係から離れて、ごくわずかの人間関係だけで過ごすようになりました。

 受験ということになると、子供たちは遊びを制限されます。塾にも行くし、家に帰ってからも宿題をしなきゃならないし。でも、とにかく時間を見つけて遊べるようにしてあげてください。1日中ずっと勉強するのは、あまり効果があるとはいえません。多少のメリハリがないと、効率も落ちるものなのですから。



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