煉瓦・・・・その活用

2007-03-14 01:03:20 | 煉瓦造建築

昨日紹介した小坂鉱山の煉瓦造建築の煉瓦は、小坂の現地で焼成されたものだ。色から見て、かなり良い焼き上がりの煉瓦である。

煉瓦というと、明治の「近代化」を連想するのが普通だ。
私自身も、喜多方で農村の中の煉瓦造を見たときは、なぜ農村に煉瓦造?という疑問が湧いたものである。この疑問が、昨年の12月に紹介した喜多方の煉瓦造:煉瓦蔵=木骨煉瓦造を調べるきっかけであった。

喜多方を調べ、そして小坂を見て、あらためて煉瓦という材料の持つ特性・特徴を知るようになった。また、なぜ数千年にわたり、途絶えることなく使われてきたのかもおぼろげながら分かってきた。

煉瓦の良さは、先ず、原料:土が足元にあること(どこにでもあること)、土を練り成型して焼けばできること、それを積むのは誰にもできること、積めばそのまま仕上がりになること、その上、積む人の気持ちが仕上りに表れること、さらに、耐久性があり、時とともに貫禄がつくこと、そして、万一壊すことがあれば再び土に帰ること・・・などが挙げられよう。
 
喜多方の煉瓦造に触発され、応用してみた建物が上掲の写真である。竣工後20年を越えたが、今のところ煉瓦壁(1枚積み)は亀裂も入らず健在である(目地には、喜多方にならい、砂漆喰を使っている)。

この建物では、煉瓦は1階の内法まで積んでいるが、2階建ての建物で2階まで木骨式で設計したところ(1階は1枚半積みで鉄筋補強、2階は1枚積み)、確認申請時、検査官は、これは組積造だからRCか鉄骨の臥梁で補強しろ、という。
では、煉瓦半枚貼りならいいのか、と訊ねると、それならいいとのこと。かえって剥落の恐れがあると思うがそれでいいのか、と訊くと、法律的にはいい、との返事。争っても時間の無駄、やむを得ず、鉄骨を上部にまわして片がついた。

設計の「確認」というのはいったい何なのか?いつも不思議に思う。
設計を「確認」しておきながら、ことが起きると設計者だけに責任を押し付ける。ならば、最初から、一切を設計者に任せればよいのである。そして、その方が、近代以前のように、設計者そして設計の質が上るはずだ。

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