日本の建築技術の展開-21 の補足・・・・孤篷庵の断面図

2007-05-16 02:36:06 | 日本の建築技術の展開
 参考として、孤篷庵の各所の断面図を「修理工事報告書」より転載する。
 この図は、修理工事後の図面。書院の小屋裏には、桁行方向に筋かいによる補強が施されているが、これは今回の修理によるもの。小屋組もしっかりしているし、小屋束が貫で縫われているから、ここまでする必要はなかったのでは、と思う。桂離宮の小屋裏も修理で筋かいだらけになったが、元もとの小屋のつくりが粗いから、こちらの方は納得がゆく(次回紹介予定)。

 断面図から、書院部分は、内法高、天井高など、ほとんど普通の住宅と同じスケールでつくられていることが分る。
 たとえば畳面~鴨居下端(現在の内法高)は、「忘筌」では1852㎜(6尺1寸強)あるのに対して、書院では1727㎜(5尺7寸)である。5尺7寸という高さは、5尺8寸とともに、かつての住宅の内法高として常用された寸法。既製木製建具の規格でも、この二種があった(住宅用アルミサッシの規格にも、かつては存在した)。
 つまり、住宅の内法高は、すでに江戸の初期に、ほぼ一定値に納まっていたと考えてよいのだろう。
 そして、天井高の2518㎜(8尺3寸)も、八畳間のごく普通の高さ。

 図面は本堂部分、書院部分を同一縮尺で整理しているが、かなり大きさが異なることが分る。それを一体にまとめてしまうというのは、大変な技と考えてよいだろう。しかも、本堂の屋根は反り、書院の屋根はむくってある。

 大分前になるが、冬の最中、訪れたときに、雪が降ってきた。書院からの雪景色は圧巻であった。寒いのも忘れ、座り込んで眺めていたのを鮮明に覚えている。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本の建築技術の展開-21... | トップ | 日本の建築技術の展開-22... »
最新の画像もっと見る

日本の建築技術の展開」カテゴリの最新記事