とり急ぎ・・・・怒れ!全国の「普通の」建築士

2008-07-16 16:08:21 | 論評

[註記追加 18.06][註記再追加 18.24]  

建築士に対して、今秋から、「定期講習」が実施されることになるが、それに関して、この「定期講習」を管轄する「(財)建築技術教育普及センター」から、平成20年7月10日付で「建築士定期講習の受講資格等のよくある質問」が公表された。

   註 「(財)建築技術教育普及センター」は、国土交通省の
      外郭団体。当然、天下り官僚が中枢部にいるはず・・・。

上掲の文言は、その冒頭の一節である。ただし、赤線の囲いは筆者追加。

驚いた、というよりも呆れたのは、「建築士」であっても「行政職員、大学教授、・・・」「地方公共団体の営繕部局の方・・・」は、「定期講習の受講が義務付けられていない」、という点(上記文言の赤い囲いの中)。

何故なのか。
それは、赤い囲いの下の部分、「建築士事務所に所属しない建築士は、設計・工事監理等の業務を『業』として行っておらず、こうした建築士についてまで、定期講習の受講を義務付けることは、過度な規制となると考えられるためです」の項で言われていることが理由なのだろう。

   註 建築士事務所に所属しない建築士:行政職員、大学教授など:は、
      数の上で圧倒的に少ないはずだ。
      逆に言えば、大多数は「普通の建築士」。
      きわめて少ない数の人たちに受講を義務付けすることが
      なぜ「過度な規制となる」のか、理解不能である。
      これは、理由にならないお為ごかしの理由。
       お為ごかし=相手のためにするように見せかけて、
                実は自分自身の利益をはかること。
      [註記追加 18.06]

もし彼らが受講不要であるとするならば(定期講習を受けないのならば)、論理的に言って、「行政職員」や「大学教授」は、今後、「設計・工事監理を『業』として行っている建築士」諸氏の仕事に関すること、たとえば確認申請書類のチェック、あるいは建築士の業務や建築設計にかかわる指導等に、一切口出しをしてはならない、関与してはならないことになる。
なぜなら、「法改正の状況や技術革新の状況」を「把握していない」かもしれない、「把握しているかどうか」のチェックがなされないままその「職」に就いているかもしれないではないか(実際、例の構造計算書のソフトいじりの一件において、建築士は厳しく扱われたが、行政は、遂に、不問のままである)。

しかし、おそらく、「無鑑査のエライ人たち」は、平然と口出しをすることだろう。第一、今回の「定期講習」や「修了考査」の内容に、彼らは口を出すに違いないし、この「想定問答集」自体、彼らの作成だろう。
こういうのを、世の中では、通常、『お手盛り』という。
そういう「定期講習」の3年毎の実施の手数料:受講料収入で、財団は、そしてそこへ天下る官僚の給料は、そしてまたそれをとりまく「無鑑査のセンセイたち」の地位と報酬は、まず永遠に保証されることになる・・・・。

   註 お手盛り:
      [人民の上に在るという意識を持つ者が]
      自分たちに都合のいいように取り決めること。
        [註記再追加 18.24]

今、本当に「資格の審査、監査」が必要なのは、「建築指導」にかかわる人たちのはずである。彼らには、本来、建物づくりにかかわる「素養」が必要のはずだ。
たとえば、木造建物の「建築指導」にかかわる人たちは、その仕事に携わる前に、最低3年は、正真正銘の大工職の下で働くことを義務付ける。こうすれば、木造建物の質はかならず上質のものになるだろう。
これは、RC、鉄骨造であっても同様だ。
何の素養もないのに、その地位を利用して《指導》などしてはならない。

かつて、第二次大戦直後、各地方行政団体の建築指導に係わる人たちは、自らの知識を総動員して、建物の質の向上を心がけた。4月13日に紹介した木造トラス組の体育館などは、まさにその例だ(「みごとなトラス組・・・・尾花沢・宮沢中学校の旧・体育館」)。それを「建築指導」と言うことに私は異を唱えない。それこそが「建築指導」だからである。

しかし、残念ながら、今のは、所属する部署名が「建築指導」であるにすぎず、担当者たちのやっていることは「指導」とは程遠く、単に「『普通の建築士』いじめ」にすぎないことは皆が知っている(おそらく、その《優越感》で、仕事をしている気分になっているのでは?)。

全国の「『普通の』建築士」諸氏よ、そろそろ怒り狂ってよいのではなかろうか。
それとも、長いものには巻かれよ、で行くのか・・・・。

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