ありの実

 「あり」を漢字で書くとすれば「有り」つまり「有りの実」と云う事になるだろうか。何のことはない、梨のことである。梨は「無し」、「客が無し」に通じることから客商売の家では「有りの実」と呼ぶのだとは、大昔に父から教わったことである。父の実家は小さな田舎旅館であったが、「客が無し」では困ったことになるからだ。

 「有りの実」と同様の縁起担きだが、夜、家の中で見つけた「蜘蛛」は紙の上に乗せて庭に逃がしてやるように云われたものだ。「夜(よ)蜘蛛来た」、「よくも来てくださった」。客が来ないのでは商売上がったりである。「よくも来てくださった」お客様、蜘蛛さんは間違っても叩きつぶしたりせずに庭に放してあげるのである。

 虫の声が大きくなりだすこの時期になると決まって思い出す、父から聞かされた話である。


 今日の一枚は、以前にもご覧頂いた写真の再掲で恐縮だが、梨の花。郷秋<Gauche>のふるさと、福島は果実王国。ミカン以外の果物は何でもござれで、梨は全国第4位の生産量を誇る。ちょうど5月の連休の頃に純白の可憐な花を咲かせる。

 郷秋<Gauche>の父の実家の田舎宿屋(那須屋)についてお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

那須屋
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遠い記憶(その三)
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