ホワイトバランスの話

 Nikon(ニコン)のウェブサイトでこんなページを見つけました

 COOLPIX S640の「製品特徴」を紹介しているページで、オートホワイトバランス機能に「デジタル一眼レフカメラのオートホワイトバランスを応用し、その場の雰囲気まで再現した美しい写真を撮影できます。」として、お洒落なホテル(っぽい)寝室を撮ったもの、落ち着いたオレンジ色がかった写真と白いであろうシーツが白く写っているもの、二枚の写真が並べられていまし。そして二枚目の写真の下に「見た目に近い自然な色再現を実現します。」と書かれています。

 つまり、COOLPIX S640は白いシーツが白く写るようにホワイトバランスを自動的にきちんと調整できる優秀なカメラだと云う事を訴えているわけです。確かに白いものが白く見えるように撮影するのが写真の基本ですが、上で紹介した二枚の写真では、少なくても郷秋<Gauche>は、ニコンが「不適切な色」だと主張するオレンジ色がかった写真の方が雰囲気があって好きだなぁ。欲を云えば、もう少しオレンジの色味を押さえた方がいいとは思うけれど。

 郷秋<Gauche>は頼まれてステージの写真を撮ることがありますが、ホールのステージの照明はタングステン電球を使っていますから、オートホワイトバランスの性能が悪いと上の例で上げた写真と同じようにオレンジ色がかった写真になります。一般的にはこれを避けるために白いものが白く写るように手動でホワイトバランスの調整をすることになりますが、郷秋<Gauche>はあえて少しオレンジの色味が残るように調整します。その方が演奏会の雰囲気を優しく伝えてくれるからです。

 白磁の皿に美しく盛られた料理の写真なら、皿が真っ白に写るようにホワイトバランスを調整することで皿も料理も美しい色で見ていただけるようになりますが、そのテーブルの、あるいはその店全体の雰囲気を見せたいとなると、やはり工夫が必要になってきます。つまり、白いものはあくまでも白くなければならない場合と、その時の雰囲気を大切にした記憶色を表現したい場合とではホワイトバランスの設定が違ってくるということです。

もう少しだけ詳しく:写真を撮るためには必ず光が必要です。その光は晴天の太陽光や夕暮れ時の太陽光であったり、電球の光であったり蛍光灯の光であったりしますが、その光の種類ごとに赤みを帯びていたり青みを帯びていたりします。その光の色味を絶対温度と云う客観的な数字で表したのが色温度(いろおんど)で、K(ケルビン)と云う単位を使います。

 電球の光は3000K程度で赤味を帯びていますが、6000K程度と色温度の高い蛍光灯は青味を帯びてきます。同じ白い紙を見ても、電球の下では赤味(オレンジ色)を帯びて見え、蛍光灯の下では青味を帯びて見えますが、人間の目(脳)は「白いはずの物は白く」見えるようにある程度調整してしまいます。デジタルカメラはこれを正確に記録しようとしますが、人間の目や脳の機能と同じように「白い物を白く」記録できるように調整するのがオートホワイトバランス機能です。

 最近のカメラのオートホワイトバランス機能は強力ですから通常は設定を「オート」にしておけばおいのですが、それでは雰囲気にかける写真になってしまうことが時としてあります。その時にはオートから、電球、蛍光灯、晴天日陰などに手動で切り替えて撮影してみてください。特に夕焼けを美しく撮ろうとした場合などには必須のテクニックとなりますね。撮った写真をモニターですぐに確認できるのが、フィルムのカメラでは絶対に真似のできないデジタルカメラの機能ですから、ホワイトバランスを手動で変えてどんどん撮ってみることをお勧めします。


 今日の一枚は、秋の空と揺れるコスモス。因みにホワイトバランスは「晴天」。郷秋<Gauche>は「オート」はあまり使わず、風景であればほとんどの「晴天」で撮影します。雨の日や太陽の光が直接差し込まない森の中で撮ると多少青味を帯びますが、その方が「それらしい」と思うからです。
コメント ( 2 ) | Trackback (  )
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コメント
 
 
 
僕のカメラは… (es206)
2009-09-26 06:27:54
僕のカメラ(E-410)は、お世辞にもオート ホワイトバランスが優れているとは言えません(笑)。
ですから、必然的にマニュアルでホワイトバランスを調整する事になります。
自然光下ではなかなか良い色を出すのですが、蛍光灯や電球下での調整は、結構気を使ったりします。
考えても見れば、フィルムの頃はホワイトバランスなど、考える事も無かったです。
蛍光灯などの下では、フィルターで調整出来たのですが、当時学生の身ではカメラだけで精一杯でした(笑)。
 
 
 
色温度 (郷秋)
2009-09-26 18:42:33
es206さん、こんばんは。
>フィルムの頃は
私自身の「フィルムの頃」は白黒でしたから、D70を手に入れて写真を最下位した時に一番戸惑ったのが色温度の問題でした。ホワイトバランスを何が何でも取っ手と考えた時期もありましたが、今は雰囲気を重視した色で撮ることを心がけています。
 
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