龍馬と「おりょう」で街おこし!? それはないぜよ

 今日の神奈川新聞に「夫婦で街おこしぜよ」と云う記事が掲載されていた。NHKの大河ドラマの放送以来、龍馬の妻であった「おりょう」が晩年を過ごした(墓もある)横須賀が脚光を浴びているのは知っていたが「夫婦で街おこしぜよ」はないだろうと、郷秋<Gauche>は思う。だって、「夫婦」はおりょうとその最初の夫であった坂本龍馬の事を指しているのだから。

 郷秋<Gauche>の記憶が正しければ、おりょうが横須賀に住んだのは龍馬と死別し暫くの時が経ち、旧知の某氏と東京で再会し再婚した後のことである。確かにおりょうは30年ほどを横須賀で過ごしているはずだが、それは西村氏(調べたら再婚相手が西村松兵衛と云う名である事がわかった)と再婚し、西村氏の妻としてのことである。

 だから、坂本龍馬の妻であったおりょうと横須賀との縁が浅からぬことは間違いないが、(調べたわけではないが)坂本龍馬と横須賀の関係はと云えばまったくない、はずである。それなのに「龍馬とおりょうで街おこし」はないだろう。西村松兵衛氏の立場はどうなるのだ。西村氏に失礼だろう。

 考えてもみて欲しい。A子がA男と結婚しB町に住んだ。ところが5年後にA男が交通事故で死亡した。A男の事故死後A子はC男と再婚し、B町から遠くはなれたD町で静かな晩年をおくりそこで没した。そのA子の墓はD町にある。このシチュエーションの中で語られるべきは、A子とC男とD町の関係だろう。A男についてはB子が最初に結婚した相手であったが結婚後まもなく事故死したと、小さくあるいは括弧書きで語られるべきである。少なくともD町において、C男を差し置いてA男とA子が語られることはないはずである。

 しかし、現実にはC男の存在は完全に無視され、D町においてA男とA子が、つまり横須賀市においては西村松兵衛氏の存在は完全に無視され、坂本龍馬とおりょうの事が声高に語られそればかりか「この好機を生かさなければD町は100年間浮かび上がらない」とまで云われ、D町は商魂逞しく「夫婦ランチ」を売りに出しているのである。クドイようだがこの「夫婦」は西村松兵衛氏とおりょうではなく、坂本龍馬とおりょうのことなのである。

 西村氏が余りにも気の毒である。坂本龍馬とは太平洋と浜辺の砂粒ほどの違いがあるかもしれない郷秋<Gauche>としては、ねずみとゾウ程度の違いかもしれない西村氏の肩を大いに持って云いたい。横須賀が「龍馬とおりょうで街おこし」は無いだろうと。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、他のどこでもない、横浜市青葉区の谷戸田とその上の空である。横浜市は2010年度から一人当たり900円(月75円)の「みどり税」を徴収している(勿論郷秋<Gauche>も払っている。別に法人からも)。月75円はわずかなようだが、横浜市の人口は368万人。世帯数が159万であることを考えれば納税者の数は200万人以上だろうからかなりの財源が確保できることになる。が、それ以上に横浜市は広く守るべき緑地は多い。このすみよしの森あかねの森の間に横たわる白山谷戸の自然が、果たして「みどり税」で守ることが出来るのか郷秋<Gauche>は注視している。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )