別に生ビールじゃなくてもいいんだけど

 ANAが業務用厨房機器メーカと共同で高圧炭酸ガスのボンベを必要としないビールサーバーを開発した。このサーバーを使って近く機内で生ビールのサービスを始めるらしい。サービスと云っても勿論有料だ。400ml、つまみ付きで1,000円とちょっと高価(350mlの缶ビールは500円だったはず)。

 このビールサーバーはドライアイスでビールを冷やすと同時にドライアイスから発生した炭酸ガスを容器に貯めて、高圧にならないようにガス圧力を調整することで飛行中の低い気圧環境下でも生ビールを上手く注ぐことが出来るようになっており、冷却の為の電源を必要としない優れもの。ただし、ドライアイスを造るためにはそれ相当のエネルギーを消費はしているはずだ。

 サービスされるビールの銘柄は3種類あるが一機には一銘柄しか搭載されない。銘柄は「アサヒ プレミアム生ビール熟選」、「サントリー ザ・プレミアムモルツ」、「サッポロ プレミアムエビス」。あれっ、キリンが無いぞ。これはどうしたわけだろう。

 郷秋<Gauche>は折ある毎に「とりあえずビールでいいや」とは、ビールに失礼だろうと云うくらいのビール好きだが、何もそこまでして生ビールを飲まなくても良いだろうと思う。大体がだ、飛行機に乗ったときには機上の楽しみがあるし、クルマに乗った時、電車に乗った時にはその時なりの楽しみがあるはず。キャンプをするなら多少不便ではあっても、虫の声に耳を傾け空で瞬く星を楽しめばよいではないか。

 キャンプに行ってまでカラオケやインターネット(7月19日の記事参照)以外にする事がないとはなんとも寂しい。ヒコーキの中では缶ビールが飲めればそれで十分。新しいサーバーまで開発して生ビールを飲まなくたっていいじゃないか。

 人の欲望とはまったく限りの無いものである。だからこそ科学技術は発達し、より便利な機械・器具が登場したのは確かだけれど、物質的な欲望に押し流されて、人間として本当に必要な大切なものが忘れられつつあるのではないかと心配だぞ。不便な生活が時に自分を見つめさせ、人と人、人と自然の関係を考えさせる。機内で飲む生ビールよりも自宅に帰り着いて土産話と共に飲む缶ビールの方がはるかに美味いんじゃないかと、郷秋<Gauche>は思うぞ。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は恩田の森、梅雨が開けた日の白山谷戸の空。横浜の空だって、捨てたものじゃない。
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