本気で月に行きたいらしい

 NASAから2010年に終了するスペースシャトル以降の有人月着陸計画が発表された。この計画が予定通り進めば1972年のアポロアポロ17号以来46年振りの月面着陸が実現することになる。

 報道によれば、スペースシャトル後継機は宇宙飛行士と貨物を同時に運ぶこれまでのシャトルのシステムと異なり、4人の搭乗員を月に運ぶ有人探査機(CEV)と、貨物専用の大型輸送ロケットを別々に打ち上げ、地球周回軌道上でドッキングさせて月に向かうのだという。

月面到着後は1週間程滞在し、運んできた貨物で月基地建設の作業を行う。完成した月面基地は将来的には火星有人探査機の打ち上げ基地としての活用も目指すという。

 この計画にかかる費用だが、シャトル計画で安全性が確認されている主エンジンや固体ロケットブースターを打ち上げに使うなどし、安全性・信頼性を確保すると共に、コストに削減に配慮するということではあるけれど2018年までに計1,040億ドル(約11兆6,000億円)を見込んでるという。

 月に行く、更には火星まで行こうというのだから、人間が見ることの出来る最大規模の「夢」と言うことが出来るだろうけど、費用もまた最大規模だな。

 さて、それでは11兆6,000億円を使って何をしに月まで行くのかというと、少なくとも今現在ネットワーク上で確認できる日本語の記事の中にはまったく見当たらないんだな。これって相当変な記事なんじゃないかな。

 ニュース記事で大切なのは「いつ、誰が、どこで、何を」だけれど、もう1つ「何のために」が必要だろう。「昨日、郷秋<Gauche>が、青葉台の、イタリアン・レストランに、行った」のなら、食事に行ったに決まっている。だけど、11兆6,000億円かけて月まで行かないとならない誰でもが思い浮かべる理由って。ないと思うんだよね。

 地球には無い、あるいは少なくなっている資源の探査・開発なんて理由はすぐに思いつくけれど、それよりも「世界のリーダーとしてアメリカの権威」のため、という理由の方が大きいような気がしてします郷秋<Gauche>はやっぱりへそ曲がりだろうか。

 確かに30年前に人間は月に到達することが出来て、月の石を持ち帰ったりはしたけれど、それから30年たっても、月が現実的に僕たちの生活を豊かにしたとは思えないな(郷秋<Gauche>が知る限りでの成果としては、月に置いてきた鏡を使って地球上の2点間の距離を正確に測ることが出来るようになったことくらい。他に何かあるんだろうか)。月に大量の原油が埋蔵されていることがわかったとしても、100年後になっても月産原油を地球まで持ってくるのは無理だろう。

 それよりも、定員オーバーもはなはだしい(と思われる)地球上のいろんな問題を解決するために11兆6,000億円を使ったほうがいいんじゃないだろうか。勿論人間が宇宙を飛んだり月や火星に降り立つという大きな夢を持つことも大切だけれど、教育どころか日々の食事にさえ事欠いている子どもたちや、予防接種を受けられない人たちのために使うとか、食料増産、砂漠緑化技術や脱石化燃料の技術開発に使うとか、使い道はいくらでもありそうだよな。

 アメリカ国民は世界のリーダー・保安官として当然必要な経費だと、この多額の費用を要する計画を受け入れるのだろうか。人間は地球上の動植物の住処を荒らすだけではなく、月の兎の世界まで荒らさないではいられない存在なんだなぁ・・・。



 例によって記事本文とはまったく関係のない今日の1枚は、秋海棠(シュウカイドウ)。秋の海棠という名前ですが、春に咲く海棠(カイドウ)に似ているようには思えません。秋海棠はシュウカイドウ科、海棠はバラ科と、親戚筋に当たるということもなさそうです。強いて似ていると言えば下向きに咲くその花色でしょうか。

[ 撮影:かつらの森 ]
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