答えは「むし歯が小さければ影響はありませんし、初期のむし歯でしたらストップする、若干元に戻るのも可能です。ところが乳歯の場合、小さい虫歯が進行して大きくなるのが非常に早い。歯間の虫歯が大きいと隣の歯が寄ってきて、将来の永久歯が出るスペースが無くなります。また、神経のところまで感染すると、根の部分の炎症が永久歯に影響を与え、永久歯が出にくくなったり、永久歯の表面に形成不全と呼ばれる着色や欠損が出来てくることがあります。」
乳歯のむし歯の特徴というか厄介なのは、むし歯が悪くなっているにも関わらず、子ども達が明らかな痛みを訴えることが少ないことです。
この患者さんは奥歯の詰め物が外れたとのことで来院しましたが、むし歯部分が深かったのでX線を撮ったところ、悪い予感が当たりました。写真のいちばん左側の歯ですが、歯間のむし歯が深かったせいか、歯の神経が死んで、根が短くなり周囲の骨が溶けて来ています(黒く見えるところです)。幸いに病巣は下の永久歯部分まで及んでいませんので、何とか根の治療をトライします。
乳歯の場合は、永久歯と違って、炎症で根が溶けてしまうということは珍しくありませんし、歯のグラグラ、歯茎の腫れ、痛み等はまったくないことも多々あります。 じわっと静かに進行するわけで、やはり治療後でも予防やチェックを兼ねた定期健診は重要ですよね。