福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

永久歯が出て来ない時

2006-12-12 | 口の中の問題

5歳後半くらいから、通常下の前歯がグラグラし始め、乳歯から永久歯との交換の時期が始まります。これには生え変わりのみではなく6歳臼歯、12歳臼歯が乳歯の奥のほうに新たに生えてくるのを含みます。生え変わりは小学生の間に徐々に進んでいきます。
この時期、乳歯は脱落したのにその後の永久歯がなかなか生えて来ないとか、片方の永久歯が生えてきて暫くなるのに反対側が出てこないとかあって、保護者の方も心配で相談においでになります。一方で、問題が起こっているのに気づかず放置している場合もあります。原因も様々なのですが、6歳臼歯が出て来ない(出にくい状態)例を少しご紹介します。
ひとつは6歳臼歯が前に傾斜して出てこようとするため、前の乳歯(第2乳臼歯)にひっかかって出にくい、ないしは前の乳歯の根の部分にもぐりこんで、乳歯の根が溶けてしまう現象です。これはectopic eruption と呼ばれています。著しい場合は、むし歯も何もない乳歯奥歯が、6歳臼歯に押されて割れてしまったり、早々と脱落してしまいます。そうなるとその後に生えてくる永久歯(第2小臼歯)の出るスペースが無くなってしまいます。近未来的に歯ならびかみ合わせへの悪影響が予測されます。


乳歯のいちばん奥歯が割れて、その下から6歳臼歯が顔を出しています。



別の患者さんですが、6歳臼歯が乳歯の下に潜り込んで、乳歯の根が無くなってしまっています。

また、下のX線写真のように6歳臼歯を包む歯の袋(歯嚢といいます)が拡大すると嚢胞化といって出にくい状態が発生します。また、この写真ではその袋の中にわずかに白っぽいものが見えます。これは歯牙腫という歯の組織と同様の塊状のものかと思われます。しっかり歯の形をした過剰歯と同じで、正常な永久歯が出るのを妨げることがあります。この患者さんは6歳で反対側の6歳臼歯は出ていますので、明らかに出るのが遅くなっていると判断されます。


このようなことは、早めに発見できれば適時に歯科的に介入することで、うまく出るように誘導できます。場合によっては外科的処置や部分的矯正治療が必要になることもありますが、このような問題への対応を、専門用語では咬合誘導と称しています。

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