
新興住宅地に突如現れた愛らしいペンギン。
森見さんの作品なのに、タヌキやキツネではなく、
ペンギンにシロナガスクジラにジャバウォック。そしてここは京都じゃない(たぶん)
これまでの作品と雰囲気ががらっと違う。
だけど軽快に理屈をこねまわす感じはやっぱり森見さんかな。
この町で3人の小学4年生が「研究」のために川に沿って探検する。
その風景を想像するのがまた楽しい。
たぶん想像するその地形や景色は読む人皆違うだろうと思う。
できれば映像化しないでほしいなあ。
「一生、ゆるさないから」とスズキ君をひっぱたいたハマモトさんに心が熱くなり、
「死」について考察したウチダ君の解釈に、頭がつーんとし、
とうとう「研究」を解明したがゆえに「お姉さん」への初恋を失い、新たに抜けた乳歯で血の味が口の中に広がるヤマモト君に胸がキュンとした。
夏休み、朝は早くから起き、空は青く白い雲が湧きあがり、
そして赤い夕焼けに染まるまで、途方もなく一日が長く
知らない小路一本発見しただけでも、いろんなことに驚き想像した小学生のころ。
一日一日が盛りだくさんだったなあと、思い出して幸せな気持ちになった。
森見登美彦 1979年奈良県生まれ
ファンタジーなのかな~。
ホント、いつものドタバタと違って、ほのぼのとちょっとゆっくり時間が流れていたように思いました。
あんな好奇心たっぷりの子の前に突然ペンギンが現われた日にゃ~、面白くないわけがありません♪
森見さん、小学生のころはきっとこんなこどもだったのかあって思いました。
これからの作品がどう変化していくのか楽しみです。