読みました「ジェノサイド」。
ジェノサイドとは大量虐殺(人種、民族、国家、宗教などの構成員を抹殺する行為)を意味する。
現生人類には殺戮行為が絶えないという命題についてダイナミックに展開した物語。

好戦的なアメリカ大統領とブレインたちのペンタゴンでの企て、
父親の遺志を継いで遺伝子的な難病の特効薬開発に心血を注ぐひとりの薬学生、
そしてアフリカのピグミー族に生まれた進化した人種。
アメリカ、日本、アフリカと三つの場面が入れ替わり立ち代わりに絡み合って高揚する。
『ヒトという動物の脳が生まれながらにして、異質な存在を見分け、警戒するようになっている』
その習性が、かつて脳の大きさでは勝っていたネアンデルタール人を滅亡させたのではないか。
考えられないほど頭脳明晰な、進化したヒト(3歳の子供)の登場と、抹殺の企てを進める政治的権力者の話とで、読むものに本能的な危機感を呼び覚ます。
自分にとって害になるものを排除するという残虐な本能が。
そんな中にも著者は、戦争の残酷さや、難病に苦しむ患者を目にした薬学生のまっすぐな思い、そして3歳の子供への父親的感情をリアルに描くことによって、現生人類の理性とか良心とか愛とかの存在をあらわしている。
そしてエピローグでは、60数億人という個体数の多さを指摘して、悪より善のほうがわずかに上回り「助け合うヒト」としての面目を保っている、と書いている。
物語に登場するハイズマン・レポートのようなことをかつて学生のときに教えられた記憶がある。久しぶりにそんな危機感を思い出しました。
殺戮を行うほどの勇気は毛頭ないけど、確かに自分の中には口にできないような残酷さはあるなあ。
できることなら次世代の、神により近いという人類と仲良くしてみたい。いやいや現代のチンパンジーと人間ほどの差が生じたとしたら無理だな、やっぱり。
ところでこの記事にはたぶん禁止用語がいっぱいあると思うけど大丈夫かしらねえ。
高野和明 1964年10月生まれ ジェノサイドは2011年直木賞候補作品
(直木賞を獲得したのは「下町ロケット」だった)
ジェノサイドとは大量虐殺(人種、民族、国家、宗教などの構成員を抹殺する行為)を意味する。
現生人類には殺戮行為が絶えないという命題についてダイナミックに展開した物語。

好戦的なアメリカ大統領とブレインたちのペンタゴンでの企て、
父親の遺志を継いで遺伝子的な難病の特効薬開発に心血を注ぐひとりの薬学生、
そしてアフリカのピグミー族に生まれた進化した人種。
アメリカ、日本、アフリカと三つの場面が入れ替わり立ち代わりに絡み合って高揚する。
『ヒトという動物の脳が生まれながらにして、異質な存在を見分け、警戒するようになっている』
その習性が、かつて脳の大きさでは勝っていたネアンデルタール人を滅亡させたのではないか。
考えられないほど頭脳明晰な、進化したヒト(3歳の子供)の登場と、抹殺の企てを進める政治的権力者の話とで、読むものに本能的な危機感を呼び覚ます。
自分にとって害になるものを排除するという残虐な本能が。
そんな中にも著者は、戦争の残酷さや、難病に苦しむ患者を目にした薬学生のまっすぐな思い、そして3歳の子供への父親的感情をリアルに描くことによって、現生人類の理性とか良心とか愛とかの存在をあらわしている。
そしてエピローグでは、60数億人という個体数の多さを指摘して、悪より善のほうがわずかに上回り「助け合うヒト」としての面目を保っている、と書いている。

殺戮を行うほどの勇気は毛頭ないけど、確かに自分の中には口にできないような残酷さはあるなあ。
できることなら次世代の、神により近いという人類と仲良くしてみたい。いやいや現代のチンパンジーと人間ほどの差が生じたとしたら無理だな、やっぱり。
ところでこの記事にはたぶん禁止用語がいっぱいあると思うけど大丈夫かしらねえ。
高野和明 1964年10月生まれ ジェノサイドは2011年直木賞候補作品
(直木賞を獲得したのは「下町ロケット」だった)

またよろしくです♪
テレビでリビアの事件を見ていると、この命題を思ってしまいます。
この著者、すごく色んなことを調べて書いてるなぁと感じました。ハリウッド映画の脚本を読んでるようなエンターティメントながら、いろいろ考えさせられる小説でした。
アフリカの内戦に関して、ゴリラの絶滅には大騒ぎする欧米のメディアが、利権のない地で100万単位で人が死んでても報道しないとか、するどい指摘がたくさんあって。
ラストで姉に会ってうれしそうにするシーンとか、新人類が時おり見せる子どもらしさが妙に印象に残りました。それにしても恐るべき子どもたちですね~!
人の記憶の底に眠っているものに、なぜか、とても興味があって。
これ、たぶん好きです。
以前、村上龍氏の「愛と幻想のファシズム」という本に
淘汰されるべき人と、生き残る人という、狩猟社会的な発想で世の中を考える主人公が出てくるのですが、
見方を変えると、殺戮も理にかなっているように思えてきて、
ちょっと恐ろしかったです。
ジェノサイトの話で、それ思い出しました。
確かに薬系の話がでてきて、こんな職業を選択するのもありだったなあなんて思ったりしました。
すっかり固くなってしまった今の頭ではもう無理ですけどね。
ありましたねーいろんなニュースが。たっぷり織り込まれていました。これだけ情報を詰め込んでしかも文章に無駄がないのはすごい力だと思います。
「この国は戦争はもうしないってきめたんだ」というケントの言葉に疑いの表情をした3歳児、私は過去の日本史を思ってドキッとしました。こんなすごい頭脳の持ち主では太刀打ちできそうにありませんね。
かなり人気があるようで、こちらの本屋では「下町ロケット」の隣に山積みされてました。
「進化したヒト」の出現の困難さについて、過去には「まびかれている」、つまり頭が異常に大きく目が変、とかで生まれてきた赤子がそっと処分されてきた歴史があるという記述にドキッとしました。
現生人類の防衛本能の強さはこんなところにもあるのかと恐ろしくもなります。
とにかく、内容の濃さについては間違いありません、おすすめします。
村上龍氏の作品も面白そうですね。