漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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上橋菜穂子著「守り人シリーズ」絶対的視点のない物語

2012-12-22 | 
「獣の奏者」探求編、完結編で感動して、以前2巻読んだことがあった「守り人」シリーズを
また読み進めて、とうとう完読してしまった。
バルサ、チャグム本当にお疲れ様。

精霊の守り人
闇の守り人
夢の守り人
虚空の旅人
神の守り人 来訪編 帰還編
蒼路の旅人
天と地の守り人 ロタ王国編 カンバル王国編 新ヨゴ王国編

それにしても上橋さんはやっぱりすごい人だ。
「絶対的視点のない物語」を書きたいと、どれかのあとがきにあったけど
敵味方という単純二極ではなく、攻め入る国、攻められる国それぞれの事情を
等しい感情で描いている。立場の違う個人の身近な実情を知ると
そうならざるを得ない決断や行動を無下に非難できない。

今、現実にも世界中が混沌とした雰囲気に包まれており、
たとえば日韓、日中の微妙な関係を保つためにも、
上橋さんような、ある意味冷静で合理的で、さらには国という囲いを超えた考え方が必要なのだろう。

描写もすばらしい。
馬のあしらいや武士の立ち姿、動物のちょっとした動きなど
たった一行の表現でありありと情景が目に浮かび、まるでその場にいるような気持ちになる。


そうそう「バルサの食卓」という本も買ってしまった。
寒い、つらい、さびしい、悲しい、そんな場面で温かい食べ物が登場すると
読んでいるだけで胃袋からぽかっと温かくなったっけ。