マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

サティde乱歩『人間椅子』を聴く(その2)

2017年10月03日 | 映画・美術・芝居・落語

 “かたりと”公演に題された「サティde乱歩」とは、作曲家サティの調べ乱歩の『人間椅子』を聴くことだった。語りの合間に、時としてかたりと一緒に、サティの曲がピアノ演奏された。演奏者は仰木ひろみさん。地域雑誌『谷中 根津 千駄木』の編集者でもある。(写真:公演は洋間で開催され、この椅子が使用された)




 照明を落とした洋間。“ポロンポロン ポロンポロン”とゆったり流れる調べに合せるかのように“かたりと”は物語を紡いでいった。この物語に会話が登場してこないことが気になっていたのだが、それは杞憂に過ぎなかった。椅子職人の「私」は、作家佳子が目の前にいるかのように思いの丈を佳子に語るのだ。小さな密室で感じる耽美と官能の世界を、時として窮屈な身体的苦痛を、北原さんは表情豊かに語った。以前にも書いたことだが、語りは一人芝居になっていた。

 語り終えて、北原さんと仰木さんの会話があった。北原さん曰く「乱歩の初期の作品が好きで、『人間椅子』を読んでいたら、”ポロンポロン ポロンポロン“と聞こえて来ました。この作品にはサティだと思い、仰木さんに話すと、仰木さんも『人間椅子』が大好きとのこと。そこで、一気にこの作品を語ることになったんでしたネ」とのこと。頷く仰木さん。この作品を選んだ理由もわかった。サティが亡くなった時に乱歩はこの作品を書き上げたという偶然もあったそうだ。
 私はサティという作曲家を知らなかった。帰宅して翌日「サティde乱歩」の意味を妻に語ると、妻は1枚のCDをラジカセに入れた。そこから流れる調べは昨夜聴いた調べと同じだった。時たま聴いていたそうだが、その曲がサティ作とは知らなかった。本を読んでいても気にならない曲なのだ。

 
実はこの公演をメールで申し込むと、北原さんからは「申し訳ありません。満席です。キャンセルが出ましたら連絡させて頂きます」とのこと。キャンセルが出たとの連絡で聴き行ったのだが、35席を急遽増席しての、満員での口演だった。更には、「日経カルチャー国内の旅」の一環として、128日(金)には「島薗家住宅」でも北原節『人間椅子』は語られるとのこと。
 又、”かたりと和LIVE”『奉教人の死』は第72回文化庁芸術祭参加公演になったそうで、“かたりと”の活躍は目覚ましいものがある。 


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