マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

巻物「八景十境」の完全公開を観る(その1)

2022年02月18日 | 映画・美術・芝居・落語

 巻物「八景十境」は正確には「太田備牧(びぼく)駒籠別荘八景十境詩画巻」のことで、詩巻と画巻からなる二巻の巻物である。江戸時代の大名・太田資宗(すけむね。1600年~1680年)の駒込屋敷(現 文京区千駄木1丁目)からの眺めを「八景」、そして屋敷内の見どころを「十境」としたものである。
 図録には、詩は儒学者・林鷲峰(がほう)により詠まれ、その子梅洞(ばいどう)により墨書され、詩文をもとに制作されたと考えられる画巻は、絵師・狩野安信により描かれた、とある。

 詩巻の全長約6m、画巻の全長約11mからなる長大な作品は文京区の文化財に指定されているが、「文京ふるさと歴史館」の開館30周年を記念して、その全貌が特別展とて完全公開されたのであった。






 実は2020/2/16のブログは「本郷台地の東端を歩く」として、「千駄木ふれあいの杜」について書いていた。太田資宗の駒込屋敷の一部は現在では「千駄木ふれあいの杜」となり、杜の一角にはこの画巻の一部コピーが掲示されて、但し書きには区の指定有形文化財とあった。是非観たいものだとは思ったが叶わぬ願望だった。それがである。完全公開されると知り、これはと思い、勇んで2月10日(木)に観にいったのだった。あの雪の日で、今日ならば観覧者は少ないだろうと推測していたが、案の定、地下1階の会場には他に1名の方がいるのみで、ゆったりと、誰に邪魔されることなく両巻を観巻出来たのだった。


 安政時代の地図に「太田摂津守資巧」と書かれているのが駒込屋敷(白地の部分)で、近くには根津権現もあった。この屋敷の左側が本郷台地で右側が低地部分である。現在では、右端は薮下通りと呼ばれ、北にある塩見坂を上りきると、鴎外の住居だった「観潮楼」(現鴎外記念館)があった。その事からも推測出来るように、台地からの展望は素晴らしかっただろう。ここからの景色としての「八景」には東台池島(現、上野公園)・大洋層瀾(江戸の海岸線方面)・編戸晩煙(江戸市中)・湯島菅祠(湯島天満宮)・士峰積雪(富士山遠望)・武野平遠(武蔵野方面)・筑波岑蔚(つくばしんい 筑波山方面)・隅田長川(隅田川方面)が登場している。(以下次回に)


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