マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

鏑木清方 幻の《築地明石町》特別公開を観る

2019年12月08日 | 映画・美術・芝居・落語

 表題の特別公開展への誘いを妻から受けて私は暫し迷った。鏑木清方の名前は聞いていたが、良く知らない画家だったからだ。強く勧められて重い腰をあげ、12月4日(水)「東京国立近代美術館」へ観に行った。観に行って大正解だったと今は思っている。
 年齢が進むにつれて日本の里山風景や、昔ながらの暮らしを描いた絵がより懐かしく思われ、女性画を美しいと感じるようになって来ている。今回の展示ではそれを実感しながら絵を眺めた。作品の中では特に清方の三部作として知られる《築地明石町》・《新富町》・《浜町河岸》と《明治風俗十二ヶ月》が良かった。





 三部作中《築地明石町》に描かれた女性像はかつて見たような記憶があった。昔、教科書に登場していたような気がして妻に聞くと、その通りとのこと。三部作で描かれている女性は上流婦人・芸者・若い娘とそれぞれ違うが皆品があり美しいと思う。(写真:右上が築地明石町)
 《築地明石町》が幻と言われる所以を初めて知った。1972年に清方が亡くなった後、3回にわたってサントリー美術館で開催された「回想の清方」シリーズの3回目(1975)に出品されたのを最後に忽然と姿を消したそうな。以来44年が経った現在、どのような経過かは語られないが、忽然と姿を現したのだった。不思議な世界だ。
 今回展示の三部作を多くの観客がじっくりと鑑賞しているので、その一歩手前に展示されている『明治風俗十二ヶ月』の列は遅々として進まない。お陰でじっくりと絵を鑑賞できたし、清方の思いを知ることも出来た。(写真:新富町)

 大正12年に起きた関東大震災で東京は焼け野原となり、明治時代の建物の多くは焼失してしまった。清方は失われていく明治への哀惜を込めて明治時代の風俗を描いたと説明されていた。例えば1月はかるた、2月は梅屋敷、8月は氷店、12月は夜の雪・・・など等。12月の男性以外は全て女性。市井の人々と季節が調和する昔ながらの暮らしが描かれていた。鑑賞していてほのぼのとしてきた。(写真:浜町河岸)
 4階では《墨田川舟遊》が展示され撮影可だったが観客多くして撮影は無理だった。残念!(下は明治風俗十二ヶ月より)


   かるた    梅屋敷
             


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