崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

血のスープのヘジャンクック

2013年10月20日 03時47分13秒 | エッセイ
昨日は東亜大学40周年記念シンポジウムがあり、大学祭も始まった。大きい講堂に有名人が演壇に並んで座って「美」をめぐる話題だが参加者は少なく、さびしい風景であった(写真)。市民はともかく大学のソリダリティつまり結束がなく、教職員や学生の無関心を感じた。独裁も問題であるが、個人主義でもない「無関心の個別主義」はもっと問題である。ある講師は「教職員の堕落だな」と嘆いていた。祭りは結束を高めるというのは常識、日本は祭りの国とも言われるが、結束は何処にあるのやら。結束は協力の基礎であろう。私も嘆く。
 昨日朝から映画祭の準備や研究所の「赤江瀑展示会」などで構内を走り回った。また「楽しい韓国文化論」講座で焼肉文化について語った。在日朝鮮人の三大企業の一つである焼肉の特徴を朝鮮半島の牛文化から話を始め、牛肉料理のメニュを取り上げた。牛の頭料理から尻尾料理、牛頭肉スープ、舌のタン、腸のソルロンタン、骨と腸のコムタン、肉刺身のユッケ、センマイ刺身、肝刺身、血のスープのヘジャンクック、尻尾のテールスープ、皮料理のゾッピョン、雄牛の性器料理の牛腎湯、焼肉のジョンゴル、蒸肉のカルビチン、醤油煮詰のジャンチョリン、干し肉の肉脯等々さまざまである。その中で日本人になかなか親しめないものが血のスープのヘジャンクックである。血の料理は韓国だけではなく、広く遊牧民族にあるが、生の血を飲むのはそれほど分布圏が広くはないし、しかもそれは薬食に近いものであり、一般料理とは言えない。日本食と韓国食の最も対比的な一般料理としては血のスープと肉刺身のユッケといえる。しかし肉刺身は日本でも生食の馬刺しなどがあるが、血のスープのヘジャンクックはない。韓国料理が日本に定着するとしても名物料理のヘジャンクックが日本の食卓に出るのは難しいであろう。私は幼い頃から食べていたので、懐かしさもあって大好物である。

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