崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

白いキムチ

2013年10月19日 06時50分09秒 | エッセイ
 先日ソウルで多くの韓国料理を食べてきたが中に特に気に入った美味しいものが白キムチ(ベッキンチ)である。ある韓定食ではそれを3回もお代りをして食べた。美女の社長は私が美味しく食べるのをみて、次にくる時は多く準備しておくので予め連絡してくださいと空約束のような冗談もした。家内が帰宅して数日後白キムチを食卓に出してくれた。その食堂から持って来たものではなく、買って来たものでもなく、自ら作ったものである。普段キムチを作るが今度はその韓国料理屋のものを参考にして梨を入れるなど工夫したようである。食堂以上に母のキムチの味を復元したのである。韓国ではこのように味を復元伝授した人を「人間文化財」とすることがある。今日は「楽しい文化論」で私が焼き肉に関して講義する。韓国の文化と味の話をするつもりである。
 先日、私と一緒に民俗学を始めた女性が李王朝の宮中料理を復元して人間文化財に指定されて有名になり日本でも知られた人、今は亡き「黄慧性食文化」で宮中料理を食べた。そこでも白キムチが出た。現代食のメニュとしてビビンバ以外にはトウガラシはほぼ使われていなかった。李王朝の宮中料理が庶民の私の味とは異なるのか、美味しさはあまり感じなかった。黄氏の味が娘に上手く伝授されなかったのか、李王朝の味は現在とは異なっていたのか私の口には合わなかった。倉庫のようにそれらしい装飾もない所で椅子に座って食べる宮中料理は異様な雰囲気と味、とても人に勧められるものではなかった。ただトウガラシを使ってないキムチを日本人に注目させたかったようである。日本では韓国料理と言えば辛いものと思われるが、ソウルの品のある料理にはあまりトウガラシは使わないことを知ってほしい。韓国のキムチ文化のリアリティを体験させたい。

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