崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「チルソクの夏」

2014年10月26日 04時34分43秒 | 旅行
 「楽しい韓国文化論」で「チルソクの夏」を鑑賞した。講師は河波茅子氏、簡単なイントロから映画を見て感想を話し合った。地元下関の人が多く参加、協賛、協力などエキストラも多く登場した下関の映画であり、韓国釜山と往来し、陸上大会に参加した高校生が恋をする。七夕の天の河のロマンの話に隠喩される青春映画である。ストーリーは昔の植民地時代の映画「朝鮮海峡」を思い出させる。ただ戦前の映画では朝鮮人差別が出てないがこの映画では朝鮮人差別が目立つ。
1977年下関の高校生・郁子と韓国人の少年アンテイホウが出会い、恋に落ちるfall in love。日本語、韓国語、英語で交際する場面は現実がよく描かれている。1,2,3、4などの韓国語を体操のリズムに合わせて覚えること、韓国語のラジオを聞くことなど下関の特徴がリアルに表れる。看板や垂れ幕などハングルや下関の海底トンネルの境界線などは広く普及されにくい地域性が濃い。悲しい場面と雨、10年後の時間のカットの処理などは旧式なイメージが強い。特に山口県と福岡県の境界をもって38度線云々という長い演説のような場面は映画の価値を一瞬に落としている。
 しかし恋の青春映画としてもう一つのポイントがある。朝鮮人が相手ということで親から反対される場面があり「ロミオとジュリエット」だと言われる。本格的な差別を主題にした映画ではないが日韓交流の障碍や壁になっており、重要な意味がある。ギターをもって歌いチップを貰うながしの父親が「朝鮮人」を差別するのは面白い。差別されるほどの貧困層が差別する。差別は唯一の自由、特権のように「高位意識」を持つことが魅力であろう。差別される人が差別するという私の持論にピッタリ。世界的な差別映画の名画「招かれざる客」と合わせて鑑賞すべきである。

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