崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『渋沢家三代』

2011年05月29日 05時51分51秒 | エッセイ
 学生時代に愛読した『種の起源』の著者のチャールス・ダーウィンの話題に触れた時に金持ちでも研究した人だという指摘があって耳に残っている。学生たちは、特に受験生には勉強は大変な苦痛でもある。それよりは遊ぶ方が楽しい。金持ちは子供の時から楽しいことを求める志向がある。今の豊かな時代に子供だけではなく大人にもその傾向が強い。わが生まれ故郷でも父母が苦労して土地を買ったのにその息子をソウルに転学させて失敗したいくつかの例を知っている。
 佐野真一氏の『渋沢家三代』を読んだ。栄一が大成功して繁栄した家がその息子の篤二の遊びと酒色で滅びる、またその息子の敬三によって栄える。財産は三代続かずということば通りである。私は学生時代にローマ帝国も酒色で滅びたと聞いたがそれは確認できていない。数年前にイタリアのボンベイの火山遺跡を見てまるでポルノの世界のように感じたことがあり、頷いたことがある。フーコーの『性の歴史:快楽の活用』は性欲の無制限の開放でなく、自分自身の意志で節制することを言っている。快楽と節制のアンバランスが問題であろう。

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