崔吉城との対話

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安倍晋三総理の談話

2015年08月15日 06時00分35秒 | 旅行
安倍晋三総理の談話が発表された。「首相」はプライムミニスターであり、閣僚の一人である。有識者会議など広く意見を収れんして閣議決定して出したものである。談話とは話し言葉である。論文などとは違う。話を文としたものではあるが手紙のようなものである。善意を持って聴き耳にするか,反省文を書かかせたような気持ちで読むのか、談話はそれによっても味が違う。路上インタビューなどではキーワードや文句が引用され部分的に聞かれていると感ずる。私は誠意をもって聞き、読んだ。文脈全体を要約すると次のようである。 
 
 
「大戦歴史の教訓、未来への知恵」西洋諸国がアジアにも押し寄せた危機感から独立を守り抜くために日露戦争、西洋の植民地化にブレーキがかかった。力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきであり、戦争は違法という国際的潮流が生まれた。しかし日本は戦争への道を進んで敗戦した。三百万余の同胞の命が失われた。原爆投下、爆撃、沖縄地上戦などで無残に犠牲となった。核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指す。中国、東南アジア、太平洋の島々などの地域で戦闘や食糧難などにより無辜の民が犠牲となった。痛惜の念と哀悼の誠を捧げる。
 民族自決を尊重し、武力行使は二度と用いてはならない。悔悟の念、痛切な反省と心からお詫びをする。戦後日本はアジアの人々の平和と繁栄のために力を尽くしてきた。引揚者、米国や英国、オランダ、豪州などは元捕虜の慰霊を日本で続けている。敵として戦った米国、豪州、欧州諸国の国々から、恩讐を越えて、寛容の心によって日本は、戦後、国際社会に復帰することができた。感謝したい。戦時下で女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、二十一世紀こそ、女性の人権は傷つけない。
 私たちの子や孫に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない。過去の歴史に世代を超えて、真正面から向き合わなければならない。国際経済を発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいる。自由、民主主義、人権といった基本的価値観を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、百年に向けて、世界の平和と繁栄に貢献していきたい。

  
 総理大臣は「我が国」、「私たち」として日本国民や世界の人々へ、戦争への反省と謝罪から新しい未来への覚悟を表現している。私としては新しい二つの視点がある。一つは敵として戦った国が戦後寛容に日本の発展を成し遂げるようにしてくれたことへの感謝である。多くの日本人はアメリカに対して被爆ばかり強調しているが基本的には感謝すべきである。日本の鬼畜米英から見て仇敵であった日本をいまも占領して大国にしてもしょうがないことであるが、独立国家として繁栄してきたことは普通のことではない。ソ連占領地で敗戦後の日本人が抑留、レイプされたことを想起すべきである。もう一つは謝罪を永遠に続けるべきかへの否定であり、平和の心を訴えたことは被害国からは物足りないかも知れないが、より深みのある意味を理解すべきであろう。侵略、継承、断絶などの単語ではなく、大意、真意を理解して平和の心構えをして欲しい。
 

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