崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

非常識

2013年08月12日 03時57分27秒 | エッセイ
 2回目の「楽しい韓国文化論」のオープニングの公開講演の講師がようやく決まった。今春韓国嶺南大学校の日語日文学科の専任講師となった堀まどか氏に決定。彼女は本欄で既に紹介したことがあるが、下関と縁の深い、また私の研究と関連性が強い方である。最近彼女の博士論文が名古屋大学出版から『「二重国籍」詩人 野口米次郎』の研究書を出版し、それがサントリー賞受賞となった。彼女は下関市の豊浦町湯玉出身の木村忠太郎の血を引いている。木村は日韓併合の前に韓国の南海の巨文島へ移民し、日本村を作り、敗戦とともに故郷へ引揚げていた。そのお孫さんに当たる方が現在も住んでいる。1980年代から私は調査に訪ねていて、お付き合いいただいている親族のような関係である。特に木村の孫の堀麗子氏と、その長男と二男の堀研氏(広島市立大教授)と堀晃氏は有名な画家である。堀研氏の娘がまどかである。またその娘まで6代を知っている関係である。そのまどか氏が韓国へ行っている。何と歴史の逆戻りが感じられるような感であり、私とも奇縁のようである。
 彼女が登壇して語る題は「韓国人の常識、日本人の非常識」である。何をどう語るか興味津津である。最近下関に来られたある女性は食べ物全てが合わなく、韓国からもってきて食べるか、夫を残して韓国で生活するのが常として往来していたので日本での適応がむずかしいと思っていた。その彼女が一年もたたないうちに日本が大好きになり、日本で永住したいと言ったという。何という変化であろう。何があったのだろうか。
 留学生たちに「留学は人を変える」という内容の話をしばしばしているが彼女も変わったのであろう。。国や社会が異なり、「非常識」が目障りになることが多い。しかしそれによって人が変わることがある。人は常識から非常識へ変わるかもしれない。その逆も可能である。子供時の価値観や家族親族との狭い人間関係の思考構造で生きる常識、そしてそこから飛び出し、自分にとっては非常識に出あい、思考を変えていけるのである。(写真左)

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