崔吉城との対話

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世界の食文化

2021年05月31日 06時13分14秒 | 講義
世界の食文化 「東洋経済日報」2021.5.28寄稿文
     
日本の食文化として夏には「土用の丑」、鰻をたべる丑の日がある。ウナギを食べると夏を元気に乗り切れるという俗説があり、暑さが最も厳しい三伏(初伏·中伏·末伏)に食べる。しかし、鰻と形が似ている蛇は食べない。食べ物とは栄養、味、そして食材の生態的な文化だと言える。国ごとに食材の種類や料理法などが異なる。

私は東南アジアの魚市場で蛇を食品として売っている現場を見たことがある。中央アジアで牛馬など肉を紐に掛けた肉林の市場も見た。そして品川場で数時間に何千頭をするその現場を見たことがある。中国の延辺で犬肉料理店が軒を連ねているのも見た。ホテルでは犬体を刻み料理するのを見てびっくりして、そのホテルを変えてしまった。これらの現場を見た後から私には動物映像の激しいトラウマが残っている。

菜食文化や肉食文化と言われる文化がある。しかし、肉食文化だからと言ってもどんな動物の肉でも食べるわけではない。ヒンズー教では牛肉は食べない。イスラム教では豚肉を食べない。どんなに飢えても人の肉は食べない。栄養ではなく、文化の問題である。ある国では牛を神様のようにもてなし、ある国では想像もしなかった材料で料理を作る。

日本文化論では和食として刺身、つまり魚を生で食べる文化が話題になることが多い。 中国などの大陸から来た留学生たちは、それに対して否定的な反応が多い。私自身も食べるが、好んで食べているわけではない。私はいまだに韓国料理が好きだ。オーストラリアで暮らして世を去った友人も基本的に韓国料理を好んだという。幼い頃から親しんだ味を好むのは一般的なことである。

私の日本文化論の時間でベトナムの留学生は淡々と自国の犬猫肉を特別食として食べること紹介した。韓国でも健康を守るために補身用として食べる。日本人には犬はペットというイメージが強く、食べるという文化にはカルチャーショックを受けたとコメント。

犬を仕事仲間やペットと考える見方が強い現代のヨーロッパ圏などでは、牧畜文化であり、犬が有史以前からパートナーであったので食べない。特にイギリスが顕著である。中央アジア・モンゴル地域でも犬は食料ではない。イスラム圏では宗教上の教義としてイヌを食料とすることが禁じられている。ユダヤ教ではカシュルートの規定があり、食のタブーになっている。

日本は犬猫を愛する国である。食材を選ぶのは自由ではあるが犬食文化は愛犬という問題と衝突する。それはクジラの問題とも似ている。欧米などの反捕鯨国からは日本の捕鯨に大きな反発があり、反日的なデモも各地で起きた。捕鯨をめぐる問題は、ナショナリズムまで刺激する。ソウル市は犬食を「嫌悪食品」に指定して販売を禁止した。

愛犬に関しては犬を愛する人への心配りが必要である。つまり愛する心、愛する人の愛にどう対応すべきか民主、人権の基本的な問題である。あくまでも人の愛は尊重されるべきであろう。

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