崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

カチューシャ

2015年03月09日 06時26分54秒 | 旅行
春が日本より早いと思い込んだコートなしの明洞の朝は寒かった。教え子の江陵大学校の朴慶洙教授からいただいた長いマフラーを帽子のように巻いて歩いた。自分ではイスラム国の殺人者のように見えるのではないかと多少懸念したがそのまま歩いた(写真は元市立劇場の前)。宣伝チラシを配る中年の女性からエステをどうぞと声を掛けられた。びっくりするわたしに「女性だと思った、綺麗ですね」と。意外な言葉にトルストイの「復活」のカチューシャのような気分になった。朝食は有名な食堂で順番を待つ列に並んでソンロンタンを食べた。カトリックの明洞聖堂、元内務省治安局での民主化運動の歴史を語りながら散策してマンゴシックスでコーヒーを飲んだ後、書店に行った。
 民俗苑洪社長の自家用の運転で波州へ、啓明大での教え子が経営するスビで一行6人はドンカツ、らーめん、サービスのコロッケ、鶏のから揚げなどおいしく食べた。博物館がまとまって集中している芸術村には人が多い。繁華街の中にあるタイムキャプセル博物館の館長に3度目に会った。いよいよ拙著の日本での出版が近づいた。もう一度原本を確かめたい。事実は事実である(fact is fact)という原則で出版することを決意。韓国では親日的だといわれるかもしれないと懸念する人がいるとも聞いている。私はその世間の懸念を棚上げにして真実を求めると強調した。1990年朝鮮総督府の資料を出版した時が大きな教訓である。私が勇気を出して、世間のタブーを破って出版したことにより、今後輩のを学者を含む多くの人が植民地について自由に研究していることを自負している。