崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

友人を作る秘訣

2014年05月15日 05時29分12秒 | エッセイ
朝起きてメールチェックなどをしてブログを書くのが一日の始まりである。この日常的なことは10年前から定着しているが、以前日記を書いた時点は憶えていない。日記は一日が終わり、寝る前に書くか、起きて一日のはじめに書くかは本人の生活のリズムである。しかし今、戦時中にシンガポールの慰安所で約2年間書かれた日記を読み終えるところであるが(写真)、その人が書いた時点を確定することは難しい。慰安所の帳場人が二人の妻に仕送りをしながら現在の市価に70万円の時計を買ったというところでは驚いてしまった。戦中、このような贅沢な生活ができたという話である。
 人の日記を読むことは人の私生活を覗いてみることになる。日記の多くにはどこで寝て起きて食べて買い物をしたということが繰り返される日常である。小説であれば書かれないことである。しかし私たち読書会メンバーは始めから終わりまで読んでいる。日記を書いた人は「室人」(内縁の妻)とか家族関係も書いており、私事や公の仕事についても触れている。この2年間の日記を読むと彼の性格が分かる。親しく感ずる。それはなぜであろうか。それは彼の多くのプライベートなこと柄を共有したということからであろう。
 他人との関係もプライベートなことも知ることにより、親しくなる。よそ行きの飾りやプライド、礼儀作法のレベルをはずして裸の私人になっていくと、嘘をつく必要もない関係になる。友人を作る秘訣は互いにプライベートな事柄を共有することであろう。